

公開日 2025年07月15日 | 更新日 2025年07月15日
東京大学
東京大学大学院医学系研究科消化器内科学は、診療・研究・教育の三本柱を軸として、消化器疾患の最先端医療を担う医師の育成を目指しています。食道・胃・小腸・大腸といった消化管領域、さらには肝臓・胆道・膵臓まで幅広い臓器に対応する診療体制が整っており、それぞれの領域で専門性を磨くことができます。
さらに、2024年には消化器内科を母体とした臨床腫瘍科が新設され、診療科の枠を越えてがん薬物療法を専門的に扱う体制も整いつつあります。診療力に加えて、基礎から臨床にまたがる研究力、そして後進を育てる教育力を兼ね備えた人材を育成することで、未来の医療をリードする医師の輩出を目指しています。
また、腫瘍性疾患、炎症性疾患、機能性疾患といった疾患の分類や、内視鏡・超音波などの手技的観点からも専門性を深められるのが大きな特徴です。内視鏡診療ではESDをはじめとする高度な低侵襲治療を日常的に行っており、また胆膵領域では超音波内視鏡(EUS)下でのステント留置など、先進的な手技にも積極的に取り組んでいます。
診療科 | 消化器内科 |
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専門分野 | 消化器内科学 |
症例・ 手術数 |
詳細は下記をご覧ください。 |
関連病院 |
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主疾患患者数
肝細胞がん:452人(2021年度)、361人(2023年度)
肝炎・肝硬変(うちNAFLD/NASH):202人(58人)(2021年度)、56人(14人)(2023年度)
胃がん・胃腺腫:197人 (2021年度)、232人 (2023年度)
食道がん:126人 (2021年度)、143人 (2023年度)
大腸がん・大腸腺腫:330人(2021年度)、285人(2023年度)
消化管出血:137人(2021年度)、103人(2023年度)
潰瘍性大腸炎:100人(2021年度)、178人(2023年度)
クローン病:30人(2021年度)、49人(2023年度)
ベーチェット病:10人(2021年度)、20人(2023年度)
膵がん:290人(2021年度)、334人(2023年度)
胆管がん・胆嚢がん:177人(2021年度)、212人(2023年度)
慢性膵炎・膵石症:114人(2021年度)、120人(2023年度)
胆嚢結石・胆管炎・胆嚢炎:235人(2021年度)、 237人(2023年度)
ラジオ波焼灼術/マイクロ波アブレーション:229件(2021年度)、196件(2023年度)
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
胃:164件(2021年度)、160件(2023年度)
食道:83件(2021年度)、119件(2023年度)
大腸:248件(2021年度)、167件(2023年度)
内視鏡的乳頭括約筋切開術 (EST):92件(2021年度)、134件(2023年度)
内視鏡的乳頭バルーン拡張術 (EPBD, EPLBD):131件(2021年度)、181件(2023年度)
膵管・胆管に対するドレナージ術:643件(2021年度)、672件(2023年度)
膵石に対する体外衝撃波治療(ESWL):115件(2021年度)、122件 (2023年度)
経皮経肝胆道ドレナージ (PTBD, PTGBD):61件(2021年度)、243件(2023年度)
化学療法(膵がん/胆道がん): 118件/43件 (2021年度)、124件/40件 (2023年度)
化学療法(胃がん・食道がん/大腸がん): 26件/82件 (2021年度)、24件/94件 (2023年度)
化学療法(肝がん): 65件 (2021年度)、54件 (2023年度)
腹部超音波検査:12,212件(2021年度)、12,334件(2023年度)
肝硬度測定:2,907件(2021年度)、3,058件(2023年度)
超音波ガイド下肝生検:83件(2021年度)、71件(2023年度)
上部消化管内視鏡:8,625件(2021年度)、10,222件(2023年度)
下部消化管内視鏡:4,173件(2021年度)、5,616件(2023年度)
小腸内視鏡:80件(2021年度)、87件(2023年度)、
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP):1,166件(2021年度)、1,306件(2023年度)
超音波内視鏡(EUS):904件(2021年度)、816件(2023年度)
超音波内視鏡ガイド下腫瘍穿刺(EUS-FNA):167件(2021年度)、185件(2023年度)
当研究室には消化管・胆膵・肝臓の3領域それぞれに専門性を持つ医師が在籍しています。それに加えて、年間1万件を超える上部消化管内視鏡検査や5,000件以上の下部消化管内視鏡検査など症例および検査・処置件数と、それに伴う疾患のバリエーションの多様さが大きな特色です。
また、関連病院も都内を中心に多数存在していますので、専門医資格取得後の勤務先にさまざまな選択肢が用意されています。消化器内科全般にわたる専門性と、東京大学ならではの研究環境の両方を生かせる医局として、全国から多くの医師が集っています。
<東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学について>
名称:東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学
所在地:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-3815-5411(病院代表)
初期研修(1〜2年目)は病院全体のスーパーローテート方式に準じて行われ、消化器内科としての本格的な関与は2年目の夏以降から始まります。3〜4年目の後期研修では、東京大学医学部附属病院や関連施設にて内科専門医プログラムに参加しながら、消化器疾患に重点を置いた診療経験を積みます。専門性を高めるだけでなく、さまざまな病院での実地経験を通して臨床力を養うことができます。
専門医資格の取得後は、大学院進学による研究の道、関連病院での診療経験の蓄積、あるいは開業や海外留学など、多様なキャリアを選択することができます。大学に残る場合も、助教→講師→准教授といったキャリアパスが整備されており、定期的な人材循環が図られています。希望と実績に応じて、学内外の施設での活躍の場が広がります。
大学院では1年目に臨床に従事した後、教授面談を経て2年目から本格的に研究に打ち込みます。研究テーマは個々の希望に応じて設定され、少人数のPI指導体制の下、年1回のプレゼンテーションなどを通じて進捗を共有。診療と研究の両立を支援する体制が整っており、各種学会での発表や論文化を通してアウトプットを重視する風土が根付いています。
年間の英語論文掲載数は100本以上で、若手のうちから国際的な視野を養うことができます。学会発表も活発で、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会といった国内の主要学会はもちろん、DDW(米国)、UEGW(欧州)、APDW(アジア太平洋)など国際学会への参加・発表も奨励されており、研究成果を世界へ発信できる機会にも恵まれています。
大学院修了後、ポスドクとして国内外の研究機関へ留学する医師も多くみられます。ハーバード大学をはじめとする一流機関への留学実績もあり、研究活動を国際的に展開するチャンスがあります。一定期間の国内研究機関での研鑽を経て海外に渡航するパターンが一般的であり、帰国後は再び東京大学の教育・研究に貢献する医師も少なくありません。
所属医師 | 187名(2007年~2024年卒の在籍医師) |
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専門医 | 日本消化器病学会(専門医 36名,指導医 10名)
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男女比 | 男性医師 150名、女性医師 37名 (2007年~2024年卒の在籍医師) |
所属医師の 主な出身大学 |
愛媛大学、旭川医科大学、秋田大学、大阪大学、金沢大学、鹿児島大学、北海道大学、群馬大学、弘前大学、滋賀医科大学、佐賀大学、昭和医科大学、順天堂大学、東京慈恵医科大学、島根大学、筑波大学、千葉大学、帝京大学、徳島大学、東京大学、東京科学大学、東京女子医科大学、東北大学、東邦大学、東海大学、鳥取大学、富山大学、長崎大学、名古屋大学、新潟大学、日本大学、日本医科大学 、浜松医科大学、福井大学、福島大学、北海道大学、三重大学、山形大学、山口大学、山梨大学、横浜市立大学、琉球大学、獨協医科大学 |
同大学出身者と 他大学出身者の比率 |
47名:140名 (2007年~2024年卒の在籍医師) |
2007年~2024年卒の在籍医師数は187名であり、そのうち他大学出身者は140名(全体の約75%)。北海道から沖縄まで全国各地の大学から医師が集まっており、互いの価値観や経験を尊重し合う文化が根付いています。また、男女比では女性医師が全体の約20%を占めており、家庭や育児と両立しながら活躍している医師も多くみられます。
三本柱である医療・研究・教育のいずれにおいても、自らの意志と興味を尊重する体制があるため、誰もが安心して挑戦と成長を続けることができます。
この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生
東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授、名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 客員教授
藤城 光弘 先生
1970年生まれ。1995年、東京大学医学部を卒業後、東京大医学部附属病院研修医。1996年より、日立製作所日立総合病院研修医、国立がんセンター中央病院消化器内科レジデント等を経て2005年、東京大学医学部附属病院消化器内科助手(助教)。2009年、東京大学医学部附属病院光学医療診療部部長・准教授、2019年、名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授、2021年東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授、現職に至る。内視鏡機器や処置具の開発から携わることで患者の負担を減らし、かつ、早期発見・的確な診断、治療が行える方法の研究を続ける。