公開日 2018年11月27日 | 更新日 2018年11月27日
東京大学産科婦人科学教室
一流の産婦人科医を育てる大教室
東京大学医学部産婦人科学教室は、産婦人科領域で抜きん出た実績と充実した環境を有しています。
まず、経験できる症例数がとても多い点が特徴です。専攻医3年間での平均症例経験数は以下のとおりです、
分娩数約220件
鉗子・吸引分娩数約25件
帝王切開術執刀数約90件
単純子宮全摘出術執刀数約35件
その他手術執刀・助手数約125件
当教室では東大ブランドだけに頼らず、積極的に若手医師が活躍できる環境を整え、また、どのようにすれば世界に通用する人材になれるか、その育成に注力しています。
臨床医を志す方も研究者を志す方も、やる気さえあれば確実にキャリアを積むことができます。「一流の産婦人科医になりたい」「充実した環境で臨床も研究も精いっぱい取り組みたい」そんな意志に燃える方を、お待ちしています。
医局情報
診療科 | 産婦人科 |
---|---|
専門分野 | 周産期、婦人科腫瘍、生殖内分泌、ヘルスケア |
症例・ 手術数 |
分娩数約220件、鉗子・吸引分娩数約25件、帝王切開術執刀数約90件、単純子宮全摘出術執刀数約35件、その他手術執刀・助手数約125件 |
関連病院 |
当院 関連病院 |
専門分野
4分野すべての領域をしっかりと学べる
産婦人科領域は、
- 周産期
- 婦人科腫瘍
- 生殖内分泌
- ヘルスケア
から成り立っています。
当教室には産婦人科領域の4分野すべてにおいてリーダーとなるスペシャリストが在籍しています。どの分野でも広く深く学べる環境が整っているので、産婦人科としての基礎をしっかり固めながらサブスペシャリティーの習得が可能です。
当教室の研究分野の一例として、以下が挙げられます。
周産期:高血圧症候群・不育症・早産の解明、母子感染、子宮内膜症、子宮線筋症
婦人科腫瘍:婦人科腫瘍の分子生物学
生殖内分泌:着床の生理と病理の解明、幹細胞の生殖細胞への応用
臨床・研究の両方ができる
さらに臨床・研究のどちらにでも没頭できる環境を整えています。
臨床では専門医の取得に充分な症例数の経験や、各サブスペシャリティーが習得でき、早い段階からしっかりと手技を磨くことが可能です。大学院への進学や博士号取得後の留学もできるため、基礎研究に打ち込みたい方にも申し分ない環境です。
※専門研修2年目以降に受験(初期研修で東大産婦人科長期研修者は専門研修1年目に受験可
(出典:東大病院産婦人科 研修医募集サイト)
教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)
1.研修の流れ
産婦人科の専門研修は3年間が必須となります。最初の研修先は市中の関連病院としており、その次に東大病院での研修を約1年間行うケースが多いです。そして東大病院での研修の後に、関連病院でさらに研鑽を積みます。研修病院の回り方は、個人により異なり、3年間の最後の研修先が東大病院となる医局員もいます。専門研修の2年目の終わりに教授との面談を経て、専門分野を決め、希望者は大学院で学びます。専門研修中に大学院に進学する医師もいます。大学院に進学しない医師は、臨床でのサブスペシャリティの習得に邁進します。
2.若手の声が通る教室
当教室では、若手医師の意見を絶対にないがしろにはしません。むしろ、若手医師だからこその発想を重視しています。
たとえば入局希望者の案内に、教授が出ていくことは滅多にありません。若い医師が中心となって、つきっきりで案内します。実際に入局した際に身近な先輩となりますから、これから所属するかもしれない教室の「人」や「雰囲気」をより肌身に感じてもらうため、こうした体制をとっています。
手術でも、教授が出て行くことはそうそうありません。手術も若手医師に任せるようにしています。技術レベルによってランクは設けていますが、手術の腕さえ磨けば、執刀を任せてもらえる環境です。これは東大の伝統であるといえるでしょう。
また、研修医が選んだよいと思う教室内の先生を表彰する機会もあります。これも我々の世代では到底思いつかないことです。このように積極的に評価してもらえる機会を設けることで、意欲向上にもつながります。
若手の医師たちは、医局を引っ張ってくれる存在です。そうした貴重な存在だからこそ積極的に彼らの意見に耳を傾け、採用するように働きかけています。
3.世界に通じる医師の育成のため、英語教育を重視
当教室では、教室内のカンファレンスやディスカッションなどを英語で行っています。これは、世界でも通用する医師を育てるためです。
日本の医療は、世界的にみても非常にレベルが高いです。しかしそれをよく知っている海外の医師はそう多くありません。その理由にはやはり言語の壁があります。
日本の医師は英語が不得手なことが多く、自らの成果を海外に発信することに積極的ではありません。せっかく世界に発信すべき成果を持っているのに、言語が障害になる。これはとてももったいないことです。
当教室では若い医師の意見を参考にしながら、2014年頃から英語でのカンファレンスやディスカッションを導入しました。英語化したところ、導入以前よりもカンファレンスやディスカッションの出席率が向上しました。
なかには「英語は苦手だから」と当教室への入局をためらう方もいるかもしれません。しかし、話す際は必ずしも正しい文法で話す必要はなく、積極的に英語を話す機会を得て、場数を踏むことで英語力は磨かれると思っています。
当教室では「英語を話す際は習うより慣れろ」をモットーに英語化を導入していますし、しっかりと英語教育も行っていますので安心してください。
4.関連病院
都内を中心によい臨床環境を整えた病院と提携
研修体制においても、東大病院だけでなく、都内や近郊に30ある連携病院・施設を有しています。そのほとんどの病院が日本産科婦人科学会専攻医指導施設に認定されているため、環境も抜群です。これらの施設を回りながら、臨床経験を積むことができます。
東京23区
- 東京北医療センター
- 都立豊島病院
- 東京警察病院
- 河北総合病院
- 東京山手メディカルセンター
- 国立国際医療研究センター
- JR東京総合病院
- 東京新宿メディカルセンター
- 日本赤十字社医療センター
- 都立駒込病院
- 都立墨東病院
- 同愛記念病院
- 三井記念病院
- 三楽病院
- 東都文京病院
- 聖路加国際病院
- 虎の門病院
- 愛育病院
- 東京女子医科大学東医療センター
東京23区外・関東
- 長野赤十字病院
- 長野県立こども病院
- 公立昭和病院
- 焼津市立総合病院
- 埼玉県立がんセンター
- 埼玉医大国際医療センター
- 埼玉医大総合医療センター
- 帝京大学ちば総合医療センター
- 帝京大学溝口病院
- 関東労災病院
- 北里大学病院
5.キャリアパス
キャリアパスとしては、大きく臨床医と研究・教育職とにわけられます。
臨床医
臨床医の場合はまずは産婦人科専門医の取得を目指し、その後に各分野のサブスペシャリティーの専門医取得、そして連携病院の責任者としてのキャリアを形成できます。
研究・教育職
研究・教育職を志す場合は専門研修を終え卒後5年目で大学院に進学し、学位を取得します。その後教室員・助教として2〜3年働き、希望者のみ2年間の留学を経て、研究指導者養成のための研修を受けます。
研究内容は各分野まんべんなく行っています。
周産期医学
妊娠免疫学
-
妊娠維持機構(不育症)
-
妊娠高血圧症候群の病態生理
-妊娠生理学
-
早産の機序
-胎児生理学
-
胎児行動
-
胎児の中枢神経系
生殖腫瘍学
子宮頸癌とHPV
-がんワクチン
-ウイルス発ガン
-新規癌抑制遺伝子の同定
-分子標的治療
-卵巣癌の発生
-子宮内膜症における発癌
生殖内分泌学・ヘルスケア
生殖内分泌学
-卵巣機能の生化学・生理学
-卵胞発育の生理・病態生理
(PCOS)
-卵子・卵巣凍結
-子宮内膜の生理(着床機構)
-子宮内膜症の病態生理
-エストロゲン
-骨代謝
-更年期精神疾患
医局の構成
所属医師 | 約200名 |
---|---|
専門医 | 約150名 |
男女比 | 7:3 |
所属医師の 主な出身大学 |
東京大学など |
同大学出身者と 他大学出身者の比率 |
1:4 |
他大学出身者が多数を占める
当教室は東京大学内で約50名、連携病院で100名以上、またそのうち大学院生が約40名という大きな教室です。教室員の出身大学も4分の3以上が他大学出身者で、出身大学の垣根を超えて切磋琢磨できる環境です。
医局の7〜8割が女性。女性が中心となって活躍
産婦人科は7〜8割が女性医師と、女性の多い科です。もちろん、女性のライフスタイルの変化に合わせて勤務できるようにしています。たとえ当直ができなくてもキャリアを積むことができるように、勤務体制を整えるなど、女性の意見を取り入れて働きやすい環境を整えています。
このように女性医師の受け入れ体制は万全ですが、一点、お願いしたいことがあります。それは一通り育児などが落ち着いた際にはきちんと当教室に復帰してほしい、ということです。
女性が多い科だからこそ、他の女性医師を先輩の女性医師が支えられるよう、協力していただきたいと思います。もちろん、男性医師の入局も大歓迎です。
研修生へのメッセージ
住所:東京都文京区本郷7丁目3-1
電話:03-3815-5411
公式HP:http://www.h.u-tokyo.ac.jp/index.html
メディカルノートで病院詳細を見るこの医局の情報をインタビューさせて頂いた先生
東京大学医学部産科婦人科学教室 主任教授
藤井 知行 先生
東京大学医学部産科婦人科学教室にて主任教授を務める。周産期医学や不育症(習慣性流死産)、産科救急の治療などを専門とし、厚生労働省が行う「母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究班」の代表として、サイトメガロウイルスなどの実態把握や、全国の医師・一般の妊婦さんへの啓発活動に尽力している。