公開日 2019年02月06日 | 更新日 2019年02月06日

東京大学

腎臓・内分泌内科

腎臓・内分泌のあらゆる疾患を扱う専門性の高い教室

当教室は、腎臓・内分泌分野における急性期から慢性期の疾患を対象に、診療・教育・基礎研究を幅広く展開しています。
教室は下記のとおり腎臓グループ・内分泌グループの2つに分かれ、各グループにおいてより専門性の高い臨床を行っていきます。
【教室のグループ構成と、臨床の主たる診療対象疾患】
・腎臓グループ:教授1名、講師1名、助教7名
(急性腎障害、慢性腎臓病、慢性腎不全、糸球体腎炎、糖尿病腎症、IgA腎症、ネフローゼ症候群、常染色体優性多発性嚢胞腎、各種電解質異常など)
・内分泌グループ:講師1名、助教5名
(高血圧、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺腫瘍、副甲状腺機能亢進症・低下症、尿崩症、不適切ADH分泌症候群、先端巨大症、クッシング症候群、副腎不全、褐色細胞種、原発性アルドステロン症、性腺機能不全、カルシウム代謝異常、骨粗しょう症、骨軟化症など)
・関連部門:血液浄化療法部:講師2名

医局情報

診療科 内科
専門分野 腎臓・内分泌分野
症例・
手術数
経皮的シャント拡張術および血栓除去術52件、長期留置カテーテル挿入8件、バセドウ病に対するアイソトープ治療14件、腎生検30件、甲状腺・副甲状腺超音波検査963件、甲状腺吸引細胞診80件、副腎静脈サンプリング8件
関連病院

当院

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教室の概要

国際的に活躍する教室員が多数在籍しており、よい刺激を受けられる

当教室の最大の特徴は、腎臓・内分泌の分野で国際的に活躍する教室員が多数在籍していることです。たとえば私自身、国際腎臓学会の理事およびプログラム委員長を拝命しており、2019年よりアジア太平洋腎臓学会理事長も務めています。さらに関連部局も含め、稲城玲子特任教授(CKD病態生理学)、田中哲洋講師(腎臓・内分泌内科)、土井研人講師(救急部)などが国際学会で委員を務め、あるいは招待講演などを数多く行っています。

このように腎臓・内分泌の分野で国際的に活躍する人材と日々意見を交わすことで、世界の医療事情にいち早く触れることができ、腎臓・内分泌分野の幅広い知見を深めることができます。当教室では若手医師であっても、本人の希望次第で、海外への留学を含め国際的な活動を支援する環境が整っています。

教室の魅力

短時間でも勤務できる「病院診療医」システムで女性も働きやすい環境に

当教室を含めた東京大学医学部附属病院全体が、女性医師の働きやすい環境作りに力を入れています。その取り組みの1つに、「病院診療医」があります。

これは、女性医師が子育てをしながら短時間で勤務できるシステムで、男性医師も取得することができます。たとえば出産後にこのシステムを取得した場合、フルタイムの勤務ではなく週に24時間以内といった働き方が可能になり、子育てと仕事の両立がしやすくなります。

実際に当教室では、すでに3名の女性が病院診療医として勤務したのち、助教として教室へ復帰しました。女性研修医で出産を希望する方の場合は、大学院在籍期間に出産するケースも比較的多いのですが、出産後に休学する、短期間の休みを経て復帰する、病院診療医として自分のペースで勤務する、という形で出産後の選択肢を増やした結果、それぞれのライフスタイルに合う働き方が可能になりました。

教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)

1.大学院での流れ

大学院1年目にキャリア形成を熟考し、その道に有効な選択ができる

当教室は前述のように、本人の希望次第で臨床研究・基礎研究のどちらも選択できますが、実際には入局の時点で自身のキャリア形成を具体的に決めている方はそこまで多くありません。ですから当教室では、大学院1年目は各自が臨床活動に専念しながら興味のある分野を広く学び、腎臓・内分泌各グループの教室員と交流する時間としています。この期間を設けることで、1年間じっくりと時間をかけて自分が研究したいテーマ・向いている分野を見極めることができ、大学院2年目以降の進路選択がよりスムーズになります。

たとえば大学院1年目修了時に「大学院修了後には100%臨床に力を注ぎたい」と考えた方には、将来の実臨床に活かせるよう大学院で病理研究を行う、あるいは疫学研究を行うなどの道を推奨します。

このように各々がじっくりと将来像について考え、目標を見据えてキャリア選択を行うことで、それぞれの希望・適正に見合ったポジションに到達しやすくなるのです。

2.研修協力病院

腎臓グループ

虎の門病院、三井記念病院、日本赤十字社医療センター、公立昭和病院、東京医大八王子医療センター、昭和大学藤が丘病院、NTT東日本関東病院、JCHO東京新宿メディカルセンター、東芝病院、東京逓信病院、河北総合病院、湘南鎌倉総合病院、国保旭中央病院、国立国際医療研究センター、帝京大学医学部附属病院、聖マリアンナ医科大学病院、東海大学医学部付属病院

内分泌グループ

虎の門病院、横浜労災病院、公立昭和病院、NTT東日本関東病院、多摩北部医療センター、JCHO東京新宿メディカルセンター

3.留学

国際的な環境が身近にあり、留学も積極的に推奨している

当教室は、若手医師に対して留学を大いに推奨しています。入局されたほとんどの研修医は大学院を卒業する時点で、市中病院等で臨床に専念するか、大学に残り研究と臨床を並行して行うかを選択します。当教室は研究も行いたいという医師が比較的多い傾向にあります。そして大学に残ることを選択した医師のうち、およそ8割の方は海外へ留学しています。

このように海外への留学希望者が多い理由は、先述の通り、当教室が普段から国際的な環境であるからでしょう。たとえば海外の大学から教授が来日した際には、英語で教授回診をしていただく機会を設けています。このように、研修医のうちから海外の教授と交流したり、積極的に英語を使ったりすることで、自然と海外留学への意志が高まると考えています。

研修医と留学先とのマッチングを行い、双方に理想的な留学を目指す

日本腎臓学会では、留学を希望する研修医と留学先をうまくマッチングするための取り組みを始めています。その取り組みとは、アメリカ腎臓学会に所属する病院から汲み取った留学生受け入れの希望条件を、日本腎臓学会のホームページに掲載し、教室員の応募とマッチングさせて留学先へ紹介するというもので、当科の関連講座のCKD病態生理学の稲城特任准教授が取りまとめを行っています。海外での留学経験は若手医師にとって大きな糧になりますから、お互いのニーズが合致する留学先と出会うことは非常に重要です。私自身も留学先のアメリカで、尊敬できる素敵な教授に出会うことができました。当教室に入られる研修医の方々には、ぜひ積極的に留学し、医師としての貴重な経験を積んでいただきたいと考えています。

実際に教室員が留学したことのある大学・病院・研究所

  • ワシントン大学(シアトル)(アメリカ)
  • カリフォルニア大学(アメリカ)
  • フロリダ大学(アメリカ)
  • ハーバード大学(アメリカ)
  • ニューヨーク州立大学(アメリカ)
  • オレゴン・ヘルス&サイエンス大学(アメリカ)
  • ジョージタウン大学(アメリカ)
  • シカゴ大学(アメリカ)
  • バージニア大学(アメリカ)
  • アルバートアインスタイン医科大学(アメリカ)
  • ワシントン大学(セントルイス)(アメリカ)
  • エアランゲン・ニュルンベルグ大学(ドイツ)
  • メルボルン大学(オーストラリア)
  • パリ大学(フランス)
  • ヘンリー・フォード病院(アメリカ)
  • マサチューセッツ総合病院(アメリカ)
  • テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(アメリカ)
  • アメリカ国立衛生研究所(アメリカ)

など

4.学位・専門医の取得

丁寧な研究指導で、学位取得に際して実りある時間を過ごせる

当教室の教室員のほとんどが学位を取得しています。腎臓グループ、内分泌グループのどちらで学位を取得する場合にも、所属するグループの上司が丁寧な研究指導を行います。

大学院での研究は、医師にとって必要な論理的思考を洗練するために重要な過程です。学位取得に際して私たちが丁寧な指導を行いますので、あなたの突き詰めたい研究テーマをぜひみつけてください。

5.研究環境

腎臓・内分泌・寄付講座に分かれ、グループ長の直接指導を受けられる

当教室では大学院1年目に病棟で研修医の指導を行い、2年目以降に研究を開始します。研究室は、以下のように腎臓・内分泌・社会連携講座の3グループに分かれており、それぞれのグループ長の直接指導を受けながら研究に専念できます。各グループにその分野を牽引するトップリーダーが在籍しているため、実りある研究期間を過ごせるでしょう。

6.研究室のグループ分類と、各研究内容

腎臓グループ

  • 腎分子病態研究
  • 先端腎疾患病態研究
  • 腎生理研究
  • 腎組織研究

内分泌グループ

  • 内分泌・疾患解析制御研究
  • 内分泌・骨ミネラル代謝研究
  • 分子循環代謝病学研究

社会連携講座

  • 慢性腎臓病(CKD)病態生理学講座

医局の構成

所属医師 70〜80名
専門医

日本内科学会総合内科専門医 23名
日本腎臓学会専門医 44名
日本透析医学会専門医 33名
日本高血圧学会専門医 4名
日本内分泌学会専門医 9名
日本糖尿病専門医 6名

男女比

5:5

所属医師の
主な出身大学

東京大学・秋田大学・旭川医科大学・岡山大学・九州大学・京都大学・京都府立医科大学・熊本大学・群馬大学・慶應大学・佐賀大学・順天堂大学・昭和大学・信州大学・聖マリアンナ医科大学・千葉大学・筑波大学・東海大学・東京医科大学・東京慈恵会医科大学・東京女子医科大学・東北大学・徳島大学・長崎大学・名古屋大学・奈良県立医科大学・日本医科大学・浜松医科大学・福島県立医科大学・北海道大学・横浜市立大学・和歌山県立医科大学など

同大学出身者と
他大学出身者の比率

5:5

男女の構成バランスがよく、自身の研究や臨床に専念しやすい

当教室は、教授、講師、助教、後期研修医、大学院生を合わせて70〜80名の教室員で構成されています。教室員全体の3分の2は腎臓グループ、3分の1は内分泌グループに所属し、男女比は5:5とバランスのよい点が特徴です。大学院生は現在44名が在籍しており、そのうち男性が23名、女性は21名と院生に絞っても男女の偏りが少ないため、性別を問わず、自身のミッションに専念しやすい環境を整えています。

下から2列目、中央が南学正臣教授

研究志向の強い研修医が全国から集まる

当教室では臨床・基礎双方の研究を行っているため、若手医師の方々も本人の希望で研究領域を自由に選択できます。また教室員の約半数は東京大学の出身者ですが、出身大学による制限は一切ありません。実際に残り半数の教室員は他大学出身で、全国各地の様々な大学から入局希望者が集まります。

研修生へのメッセージ

当教室は、各分野の第一人者から指導を受けられること、教室員それぞれの将来像・ライフスタイル・適正によって様々なキャリアプランを形成できることを強みとしています。私自身、研修医時代に充実した時間を過ごすことができたため、医師として大きく成長できました。ですから当教室の教室員にも同じように、実りある経験を得ていただきたいのです。当教室に入局後は、ぜひ様々な選択肢の中から自分自身のやりたいことを見つけ、一生懸命にその道を進んでください。その先に、きっとあなたの理想的な医師像が作られると確信しています。

この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生

東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 教授

南学 正臣 先生

1988年、東京大学医学部を卒業。東京大学医学部附属病院内科研修医、公立昭和病院、東京船員保険病院での勤務を経て、1994年よりワシントン大学腎臓内科に客室研究員として留学。低酸素、HIFシグナルを中心とした低酸素研究により腎臓病の病態生理の解明と治療法の開発を行う。2012年より現職。