公開日 2018年11月05日 | 更新日 2018年11月05日

東京女子医科大学

内分泌内科学講座

内分泌疾患の全国有数の症例数を誇る教室

東京女子医科大学 医学研究科内分泌内科学講座は、多彩な内分泌疾患の診療を行っており、内分泌疾患では全国有数の症例数を誇っています。日本で唯一の内分泌センターの内科部門を有する施設として、下垂体や甲状腺、副甲状腺、副腎など、あらゆる内分泌疾患の診療を行っています。
また、高血圧症の診療にも注力しており、内分泌性高血圧や腎血管性高血圧などの二次性高血圧や妊娠高血圧症候群など、より専門的な管理を要する高血圧症の診断や治療にも対応しています。

医局情報

診療科 内科
専門分野 内分泌疾患
症例・
手術数
東京女子医科大学 高血圧内分泌内科のホームページ参照
関連病院

当院

関連病院

全国から希少疾患が集まる教室

当教室には、希少疾患を有する患者さんが全国から集まってきます。希少な内分泌疾患の診断や治療を幅広く経験できる点は、当教室の大きな魅力でしょう。たとえば先天性副腎皮質酵素欠損症など、難病に指定されている症例の診断や治療にも積極的に取り組んでいます。

当教室の初代教授は、下垂体の分野で日本の第一人者でした。その流れを汲み、東京女子医科大学では内分泌の疾患に伝統的に力を入れてきました。それが実績や評判につながり、患者さんが全国から集まるようになったのです。

豊富な症例を診る経験は、臨床のみならず、専門医の取得や研究にも多いに役立つでしょう。あるいは、将来開業を目指すような方にとっても、若い時期に多様な症例を経験することは、医師として技量の幅が広がるとともに大きな糧になると考えています。

外科など他の診療科との連携を実現

また、東京女子医科大学には内分泌外科もあります。内分泌内科を有する病院は少なくありませんが、内分泌を専門とする外科は全国的にみても珍しいのではないでしょうか。

当教室では、この内分泌外科をはじめ、下垂体手術で有名な脳神経外科や副腎の腹腔鏡下手術数では全国屈指の泌尿器科など、関連する外科との積極的な連携を実現しています。これによって幅広い治療を可能にするとともに、多様な患者さんを受け入れることにつながっています。

専門分野

当教室のメンバーは多様なバックグラウンドを持ち、専門分野も実に様々です。ここでは、教室員の研究の一例をご紹介します。

全国的に活躍する教室員たち

当教室の医師のなかには、研究者として全国に名を馳せる者がおります。たとえば、准教授である森本 聡先生は、脳幹部血管圧迫による二次性高血圧症の分野の第一人者であり、研究者として全国的にその名を知られる存在です。

また、都市型遠隔診療を熱心に研究している講師の谷田部 淳一先生は、その実績が認められ日経ビジネス誌の「次代を創る100人」に選ばれています。

研究内容の例

ほかにも、当教室には、以下のような研究実績があります。

  • 成長ホルモン分泌異常症(先端巨大症・成長ホルモン分泌低下症)についての基礎/臨床研究
  • プロラクチン産生下垂体腺腫についての基礎/臨床研究
  • ACTH産生腫瘍についての基礎/臨床研究
  • 間脳下垂体炎についての基礎/臨床研究
  • 甲状腺腫瘍・バセドウ病眼症についての基礎/臨床研究
  • 原発性アルドステロン症の病因・診断・治療・予後についての基礎/臨床研究
  • 副腎性クッシング症候群の病因・診断・治療・予後についての基礎/臨床研究
  • (悪性)褐色細胞腫の病因・診断・治療・予後についての基礎/臨床研究
  • 治療抵抗性高血圧における成因と治療についての基礎/臨床研究
  • (プロ)レニン受容体についての基礎/臨床研究

教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)

1.研修の流れ

当教室に後期研修医として入局した場合、入局後5年間が研修期間となります。最初の1年間は臨床に注力してもらい、あらゆる内分泌疾患の診断や治療の経験を積んでもらいます。

2年目以降は、希望者は大学院に進学しますが、大学院における研究を希望せず臨床に取り組みたいと望む方には、そのまま臨床医としての経験を積んでもらいます。

2〜5年目のどこかの1年は、基本的には関連病院で臨床の経験を積むことを推奨しています。仮に、将来研究者を目指す方であっても、一年は大学ではない場所で経験を積むことには大きな意味があると考えています。

また、学内においても、2-5年目の一定期間を腎臓内科や糖尿病内科などさまざまな内科で経験を積む研修も可能です。

2.キャリアパス

興味のある分野でオンリーワンを目指してほしい

当教室には、自身の興味がある分野をとことん極めることができる環境があります。現在所属している教室員は、ナンバーワンというよりもオンリーワンを目指す傾向が強いといえるかもしれません。それぞれが自身の興味を持つ分野の専門家になることを希望し、日々診療や研究にあたっています。

また、当教室では、希望者は科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)の競争的研究資金や日本学術振興会の特別研究員に応募することを推奨しています。このように、成長につながるチャレンジには積極的に取り組んでほしいですし、できる限りのサポートをしたいと考えています。

学位や専門医を取得できる環境がある

当教室では、専門医はほとんどのケースでスムーズに取得しています。

また、研究に関してお話しすると、基礎研究を望む方は基礎研究に取り組むことができます。臨床研究を望む方は、全国から集まってくる豊富な症例を元に臨床研究に取り組むことができます。本人の希望にあわせ、最初に研究方針を定め学位取得を目指し研究に取り組むという流れになります。

3.関連病院

当教室の関連病院は、主に東京近郊や神奈川県の市中病院になります。以下に主な関連病院を抜粋します。お話ししたように、当教室では研修期間の1年間は関連病院で経験を積むことを推奨しています。

これは、大学病院では出会うことができない患者さんを知る貴重な機会になるとともに、市中病院ならではの現場の医療スタイルを学ぶチャンスになるでしょう。

主な関連病院の抜粋

  • 国立成育医療研究センター病院
  • 国立病院機構 横浜医療センター
  • 川崎市立川崎病院
  • 川崎市立井田病院
  • キッコーマン総合病院
  • 聖母病院
  • 公立学校共済組合 関東中央病院

4.留学

希望者には留学をサポート

当教室では、希望者は積極的に留学することができるようサポートしています。特に国外留学は、他国の文化に触れる貴重な機会になりますし、異なる価値観を知ることで人生の幅も広がると考えています。

過去には、アメリカ国立衛生研究所(NIH : National Institutes of Health)やアメリカ南部に位置するチュレン大学などへの留学実績があります。

医局の構成

所属医師 26名
専門医

内分泌代謝専門医 10名、高血圧専門医 8名、甲状腺専門医 3名、動脈硬化専門医 3名、総合内科専門医 多数

男女比

19:7

所属医師の
主な出身大学

東京女子医科大学、東北大学、新潟大学、島根医科大学、横浜市立大学、京都府立医科大学、福島県立医科大学、慶應義塾大学、聖マリアンナ医科大学など

同大学出身者と
他大学出身者の比率

5:21

競争よりも相談・協力する体制が築かれている

当教室のメンバーは、教員や後期研修医を含め26名です。少人数ということもありアットホームな雰囲気で、教室員は皆、非常に良好な関係を築いています。教室員の約半数は東京女子医科大学の卒業生ですが、もう半数は、東北大学、新潟大学、島根医科大学、横浜市立大学、京都府立医科大学、福島県立医科大学、慶應義塾大学、聖マリアンナ医科大学など全国の多岐にわたる大学から集まってきています。

教室員は皆、高血圧などの生活習慣病を診療できるジェネラリストを目指すと共に、ホルモンなど内分泌分野に興味を持ちオンリーワンの専門家になることを望み入局してきた者ばかりです。競争するというよりも皆で患者さんを受け持ち、相談・協力しながら研究や診療にあたる体制が築かれています。

産前産後休暇・育児休暇の取得実績がある

当教室には女性医師が7名在籍し、教室員の約1/3は女性です。幼いお子さんを育てながら働く女性医師も3名いて、全員が産前産後休暇や育児休暇を取得して復職し活躍しています。なかには子育てをしながら当直をしている者もおり、本人の希望に沿って業務を調整しながら臨床や研究を続けることが可能です。

研修生へのメッセージ

私は、内分泌の分野は、推理小説に似ていると考えています。さまざまな証拠のなかから推理して答えを見つけていく面白さがあります。その一方、希少疾患が多いため、よほど記憶力が良くなければ取り組むことができないというイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし、興味さえあれば経験や実績は後からついてきます。お話ししたように当教室では、さまざまな症例を診ることが可能です。「あらゆる内分泌疾患症例を診た」という経験を通して実力が育まれ、自然とオンリーワンの内分泌内科医になることができるでしょう。
そのため、内分泌分野に興味さえあればぜひ当教室の門を叩いていただきたいと思っています。同門の教室員は皆、面倒見がよく、励まし上手な者ばかりです。協力し合う体制が築かれていますので、不安を感じることなく入局してください。

この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生

東京女子医科大学 内分泌内科学講座 教授・講座主任

市原 淳弘 先生

高血圧や内分泌疾患を診る専門医として高い実績を有する内科医。疾患の治療のみならず、患者さんの心や人生に寄り添い、力強く支える診療をモットーとしている。2011年には東京女子医科大学 内分泌内科学講座の主任教授に就任し、後進の育成にも尽力している。