公開日 2018年11月05日 | 更新日 2018年11月05日

東京医科大学

神経学分野

医局の概要

東京医科大学・神経学分野は2013年7月1日に開設された、新しい教室です。医局員の数は、関連病院である東京医科大学八王子医療センターのスタッフを含めると、2017年現在で15名です。また、国内の教育関連病院での研修を行っているスタッフが他に2名います。毎年2~3人ほどの入局者を迎えています。
対象疾患としては、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、てんかんなどの神経内科疾患をはじめ、脳卒中などの診療も担当しています。神経疾患の幅広い領域をカバーしている教室です。

医局情報

診療科 神経内科
専門分野 神経学分野
症例・
手術数
脳卒中、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、重症筋無力症
関連病院

当院

関連病院

専門分野

急性期から慢性期まで幅広い疾患を経験

東京医科大学・神経学分野では、神経疾患の幅広い領域を専門としています。神経変性疾患であるパーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、神経免疫疾患である多発性硬化症、重症筋無力症などに対しては、専門外来を設け最新の診療を行っています。

また、脳卒中の臨床に対しては、脳卒中センターの内科系脳卒中診療科として、急性期から担当しています。そのため、急性期の疾患から慢性期の疾患までの臨床を経験することが可能です。そして、脳卒中の治療では、関連する外科系・内科系診療科と救命救急センターが一緒になって診療にあたっています。診療科同士の垣根が低く、連携がスムーズという点も魅力です。

コモンディジーズである神経疾患も診療

東京医科大学・神経学分野では、アルツハイマー病や認知症、頭痛、てんかんといったコモンディジーズである神経疾患の診療も担当しています。神経内科医が、大学病院以外の施設に行ったとき、もっとも多く診る疾患は認知症です。高齢化とともに、認知症をはじめとするコモンディジーズに対する需要が高まっており、多くの症例を経験し、対応力を養っています。

難病の臨床試験を実施

2017年4月から、東京医科大学・神経学分野では、筋萎縮性側索硬化症を対象としたペランパネルの医師主導型第Ⅱ相臨床試験を開始しました。この臨床試験が成功すると、世界に先駆けた日本発の治療法となります。難病に対して基礎研究の成果を元にした、新しい治療法の研究にも力を注いでいます。

教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)

1.研修の流れ

教室には初期研修が終わった3年目から入局していただきます。基本の研修は下記のような流れで進めていきます。主に病棟での研修が中心で、時折外来も加えながら、脳血管障害、神経変性疾患、自己免疫性中枢神経疾患、末梢神経疾患、神経筋接合部疾患、神経感染症などを中心に担当医となり、先輩医師のもとグループ診療を実施します。

神経内科研修のみの場合

・1年目(卒後3年目)

病棟・外来での臨床研修

・2年目(卒後4年目)

病棟・外来での臨床研修、神経生理研修、神経病理研修

・3年目(卒後5年目)

教育関連病院での研修

神経内科研修に加えて、内科を含めた他診療科の研修を希望する場合

・1年目(卒後3年目)

病棟・外来での臨床研修(神経内科)、他診療科研修

・2年目(卒後4年目)

病棟・外来での臨床研修、神経生理研修、神経病理研修、他診療科研修

・3年目(卒後5年目)

教育関連病院での研修

(引用:東京医科大学神経内科HP http://team.tokyo-med.ac.jp/shinkeinaika/neurologist/program.html

また、東京医科大学・神経学分野の特徴として、毎朝カンファレンスを行っています。全入院症例を教室員全員で検討することで、より疾患理解を深めることが可能です。

2.1人ひとりに合わせた研修プログラム

基本的な流れは上記の通りですが、必ずしもこの形が固定されているわけではありません。教室員1人ひとりの要望に沿った研修プログラムを組めるということも、東京医科大学・神経学分野の特色です。

たとえば、早めに学位を取りたい、専門医の資格を取りたいといった方には、そのような希望を叶える研修を行います。また、東京医科大学以外の場所で研修を行いたいという場合には、積極的に教育関連病院での国内留学を勧めています。教育関連病院としては、東京医科大学八王子医療センター神経内科東京医科大学、茨城医療センター、東京都健康長寿センター、国立循環器病センターなどがあります。

3.留学

国外に留学している教室員は、2017年現在はいません。しかし過去には、フランスやアメリカに留学に行っていたスタッフもいます。国際感覚を持ちたい、視野を広げたい、最先端の医学を学びたいと希望するスタッフを積極的にサポートしたいと思います。

私自身は卒後、7年目に2年間米国Harvard Medical School・マサチューセッツ総合病院の神経遺伝学研究室に留学しました。ここでは分子生物学・遺伝子発現について学ぶと同時にMcLean Hospitalのbrain bankで神経病理を学び、現在の研究の基礎となっています。

医局の構成

所属医師 14名(男性9名 女性5名)
専門医

8名

男女比

2:1

所属医師の
主な出身大学

東京医科大学、東京慈恵会医科大学など

同大学出身者と
他大学出身者の比率

6:1

女性医局員のキャリア形成をサポート

教室ができた当初の教室員の男女比は約2:1でした。しかし、最近は女性スタッフの人数が増加傾向にあり、1:1になりつつあります。そのため、教室内だけでなく大学全体で、女性の働きやすい環境についてはさまざまな試みがされています。

大学のなかには女性が子育てをしながら仕事に取り組むための支援センターが設置されています。そして、支援センターに相談をすることで、産休・育休の間、自分の研究の手助けをしてもらうことが可能です。また、時間を短くしての勤務や出勤日数を減らすこともできます。神経学分野では、現在1名が育児のため週に2回の勤務体制をとっています。近々出産予定のスタッフもおり、女性教室員がキャリアアップと出産・子育てに励むことのできる環境を整えています。

研修生へのメッセージ

臨床神経学を学びたい、慢性期から急性期までのあらゆる神経疾患を診ることができる医師を目指したいという方にとって、西新宿というアクセスの良さから多くの患者が集まりやすい当大学病院・神経学分野は最適の場所だと私は考えています。そして、臨床はもちろん、基礎的な研究を行う環境も整っています。2017年現在、東京医科大学が中心となって臨床試験を行っている筋萎縮性側索硬化症は、治すことが非常に困難な難病です。こういった難治性神経疾患に興味を持ち、新しい治療法を発見したいという方も歓迎します。
また、研修のプログラムが比較的自由に組め、東京医科大学以外の施設への国内留学にも積極的です。なぜならば、多くの施設で研修を行い学ぶことで、人脈や視野を広げることができ、本人にとって非常に貴重な得難い財産となるからです。そして、東京医科大学に戻ってきた際に、外で得たものを十分に発揮してもらいたいと思っています。1つの場所にとどまらず、さまざまな場所で経験を積みたいという明るく元気な方をお待ちしています。

東京医科大学の情報

住所:〒160 - 8402 東京都新宿区新宿6 - 1 - 1

電話:03-3351-6141

公式HP:https://www.tokyo-med.ac.jp/

この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生

東京医科大学 神経学分野 主任教授

相澤 仁志 先生

神経変性疾患の中でとくに筋萎縮性側索硬化症の基礎および臨床研究により、病態に基づいた治療法の臨床治験を行っている。治る神経内科、患者に寄り添う神経内科医が目標。医局は神経変性疾患と神経免疫疾患、脳卒中に力を入れ、神経疾患と脳卒中の両方を診れる神経内科医、研究する神経内科医の育成を目指している。