公開日 2018年11月05日 | 更新日 2018年11月05日
獨協医科大学神経内科学
教室の概要
当教室は、獨協医科大学設立時の1973年に開講されました。神経内科学の歴史そのものが浅い本邦においては、歴史の深い教室ということができます。開講時はわずか3名の教室員でスタートした当教室も、2017年現在では約60名の教室員が在籍し、年間37,000名以上の外来診療と1,200名以上の入院受け入れを行う大教室となっています。さらに、現在では埼玉医療センター脳神経内科、獨協医科大学日光医療センターにもそれぞれ教授、准教授を配置運営しており北関東、いや東京以北最大の脳神経内科グループを形成しているといえます。
医局情報
診療科 | 神経内科 |
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専門分野 | 臨床神経学、脳神経内科学 |
症例・ 手術数 |
脳卒中・認知症・頭痛・てんかん・睡眠障害など |
関連病院 |
当院 関連病院 |
教室の魅力
通常の大学の神経内科学講座では難病を中心に臨床・研究を行うことが多いのですが、当教室ではCommon Diseaseである脳卒中・認知症・頭痛・てんかん・睡眠障害などの診断・治療を中心に行っています。獨協医科大学脳神経内科の外来は8ブース体制で行い、これに加えて頭痛や物忘れ、睡眠障害などの専門外来を複数設けているため、多い時には10以上のブースが稼働していることになります。
もちろん、難病であるパーキンソン病やALS(筋委縮性側索硬化症)などの変性疾患の診断や治療も手掛けており、1日当たりの平均入院患者数は約60名にのぼります。これは神経内科教室としては日本で5本の指に入る大きな数であり、若手医師のみなさんは、日々多くの患者さんをみて経験を積むことができます。
専門分野
当教室では、頭痛や睡眠、物忘れに対する専門外来を設けており、これらの疾患や症状を専門に診察しています。
日本には神経疾患の患者数がとても多く、人口の3分の1が頭痛を、5人に1人は睡眠障害を持っているといわれます。そのほか、めまいや手足のしびれ、肩こりといった日常的に起こる症状も、すべて神経の異常が関わっています。
当教室ではこうした疾患を専門にしているため、多くの需要にこたえられるような専門性を身に着けることができます。
論文・研究実績
当教室の主な研究テーマは下記の通りです。
睡眠医学
レム睡眠行動異常や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠関連疾患に関する研究および、脳血管障害・変性疾患(パーキンソン病など)・頭痛といった各種神経疾患の睡眠に関する研究を行っています。
特にレム睡眠行動異常症においては世界に先駆けて最先端の研究を行っていることが強みです。
レム睡眠行動異常の患者さんのほとんどが、発症後10年以上経ってからパーキンソン病あるいはレビー小体型認知症になるといわれます。当教室ではレム睡眠行動異常症から始まるパーキンソン病などの神経変性疾患のメカニズムについて研究を行っており、その研究成果は世界からも高い評価を受けています。
頭痛
片頭痛の発症によって人混みが辛くなるメカニズム、気圧と片頭痛の関係などを疫学的・生理学的な側面から研究しています。頭痛は私自身の専門分野でもあり、当院には全国から頭痛に悩む患者さんが訪れるため、非常に幅広い症例を研究できることが特徴です。
脳波・事象関連電位・末梢神経電気生理
事象関連電位(脳波)による認知症疾患の病態診断、治療効果に関する研究を行っています。また、筋電図・電気生理の臨床研究を行なっています。
神経免疫
ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーの成因・病態・治療に関する研究を行っています。
行動科学
アクチグラフ、非観血的持続血圧計などによる脳血管障害・変性疾患の時間生物学的研究を行っています。
脳卒中
頚動脈超音波検査を応用した臨床研究やMRI・SPECT・MRS(MR spectroscopy)、脳卒中後のうつ、血管性うつの研究などを行っています。また、脳卒中センターを設立し最新医療を提供しながらの研究も行なっています。
業績
教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)
1.キャリアパス
入局後、関連病院や大学院(希望者はさらに6か月以上集中治療部での研修)で学位取得および神経学会専門医、内科認定医取得を目標とした研修を行います。
当教室では神経内科のスペシャリストの育成を目指すだけではなく、脳卒中による寝たきりの患者さんの診療などのサブスペシャリティの能力の取得も大きな目標としています.
当教室はこれに加えて、不眠やうつに対応できる神経内科医の育成にも力を入れており、教室員のなかには脳卒中学会専門医や睡眠学会認定医、頭痛学会専門医、臨床神経生理学会認定医、老年精神医学会専門医などを取得する教室員もいます。とくに重要な点は獨協医科大学病院がこれらの資格を取るための教育施設の資格を持っていることにあります。実際神経学会の教育施設ではあってもその他の認定施設ではない教室も多いのです。
大学卒業後、6年目くらいには一通りの神経内科疾患を診療できることを目標にしており、多くの教室員がこの目標を達成して若手の頃からたくさんの診療を行っています。
また、上記のとおり当科の場合は新制度においても卒業6年目には日本神経学会専門医取得、日本内科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本睡眠学会認定医などがほぼ同時に取得できることになります。
ただこれは、人によって個人差や考え方がありますので、一般的にということになります。
2.留学
留学実績がある大学は下記の8つです。
- University of Glasgow
- University of London
- Universität Wien
- Universität Zürich
- Université de Paris
- Wright State University
- Baylor College of Medicine
- National University of Singapore
医局の構成
所属医師 | 約60名 |
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専門医 | 神経学会専門医26名
|
男女比 | 7:3 |
所属医師の 主な出身大学 |
日本大学、横浜市立大学、三重大学、滋賀医科大学、秋田大学、埼玉医科大学、東京女子医科大学、信州大学、福島県立医科大学,東海大学など |
同大学出身者と 他大学出身者の比率 |
8:2 |
先に述べた通り、2017年現在では約60名の教室員が在籍しています。男女比は7:3で男性が多く、8割以上が35歳以下と平均年齢が若いことも特長です。そのため、教室の雰囲気はとても明るく活発で、教室の伝統を大事にしつつ常に新しい医療を探究するという熱意に溢れています。
出身大学
獨協医科大学のほか、下記の大学出身者が集っています。
- 日本大学
- 横浜市立大学
- 三重大学
- 滋賀医科大学
- 秋田大学
- 埼玉医科大学
- 東京女子医科大学
- 信州大学
- 福島県立医科大学
- 東海大学
など
教室の雰囲気を楽しく保つ仕組み作り―自由を尊重する教室
当教室は、個々の自由な生活を最も尊重しています。昔は多くの教室で教室員の活動に関する「縛り」が多く、ゲームやスポーツの参加が強制的だった場面もありましたが、われわれの教室は強制参加のルールは一切ありません。一人一人の独立した生活を保障しつつも、そのうえで教室員同士が仲良く交流できるように適度に交流の場を設けています。自由な生活の範疇には踏み入らず、しかし困ったときは助け合う精神が、教室の良好な雰囲気を保っているのだと考えています。教室員同士の仲はとてもよく、仕事終わりに希望者を募って飲みに行くこともしばしばあります。
研修生へのメッセージ
住所:栃木県下都賀郡壬生町北小林880
電話:0282-86-1111
公式HP:http://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-m.html
メディカルノートで病院詳細を見るこの医局の情報をインタビューさせて頂いた先生
獨協医科大学病院 院長、獨協医科大学病院 脳神経内科教授
平田 幸一 先生
獨協医科大学を卒業後、同大学病院臨床研修センター長や同大学付属看護専門学校長を務めたのち、2017年4月より病院長に就任。大学の運営や医局での後進の育成のみならず、社会活動や学会活動など、非常に幅広い領域で活躍を続けている。日本脳卒中協会栃木県支部長、栃木県神経難病連絡協議会長。