



公開日 2018年11月12日 | 更新日 2018年11月12日
新潟大学
当教室は前身となる新潟大学医学部第一内科教室が2012年に循環器内科と血液内分泌代謝内科に分かれたことにより誕生しました。新潟大学医学部第一内科教室は1911年より続く歴史ある教室です。私は2012年に初代循環器内科教室教授、第10代目第一内科教授として着任しました。
診療科 | 循環器内科 |
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専門分野 | 循環器内科 |
症例・ 手術数 |
入院人数(2017年)940人 (新潟大学医歯学総合病院) |
関連病院 |
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当教室は臨床と研究の知能を循環させ、双方が密接に関わり合っています。臨床の現場では幾度となく、今の医療では治療しきれない課題に直面します。今治療できない疾患や診断できない疾患を治療・診断できるようにするためには、質のよい研究が不可欠です。
幸い、当教室では多くの患者さんを診療していますので、臨床から症例やサンプルを集め、それを元に解析し、ネズミを使った基礎研究で検証することもできます。このようにして研究で得た新しい知識は、今度は臨床に活かすことができます。
当教室で学ぶ医師たちは、希望に応じて臨床と研究を両立することも可能ですし、一方に集中することも可能です。
循環器内科は非常に幅広い診療領域をもちます。新潟は医学部を有する大学が本学のみであるため、当教室でも高度医療を担うことはもちろん、3次救急病院として救急の患者さんの診療も行っています。当教室は、臨床を3つの分野別のチームで行っています。
<3つの臨床チーム>
虚血再生診療分野では、主に心筋梗塞・狭心症の診断・治療を行っています。これらの疾患は主にカテーテルを用いた検査・治療が行われます。心筋梗塞や狭心症は患者数も多いため当教室内での受け入れ数も多く、医師は多くの経験を積むことができます。
また、当教室では先進医療として、カテーテル治療でも治療が難しい患者さんに対し再生医療も行っています。
心不全班では、心臓エコー検査やMRI、胸部レントゲンを用い、心不全の有無や原因を突き止め、治療にあたっています。心不全の治療は投薬や手術などさまざまですが、特に重篤な心不全の場合に心臓移植が必要になることもあります。当教室の心不全班では心臓移植を待つ準備段階として、人工心臓の設置にも携わっています。
当教室では前任の相澤義房先生が不整脈をご専門とされていた経緯もあり、現在でも不整脈治療を熱心に行っています。カテーテルアブレーションや、デバイスを用いた植込み型除細動器(ICD)も歴史が長く、大学病院として多くの治療実績を誇っています。
また、2012年より県内外の不整脈治療を引き受ける寄付講座「不整脈センター」を立ち上げ、多くの紹介患者さんを受け入れ、治療を行っています。
また、今後従来外科医が行っていた弁膜症の治療を内科医がカテーテルで行えるよう、現在ハイブリット手術室の建設や稼働準備を行っています。人材や設備の体制を整え、2018〜2019年頃の本格稼働を予定しています。
当教室では、初期研修終了後晴れて入局した医師に対し、まず複数の関連病院での研修を2年ほど経験してもらっています。最初に大学病院ではなく、外の病院で研修を行うことのメリットは、最初に一般的な循環器疾患を経験できることと、それぞれの病院でさまざまな先生に学び、先生の手技や哲学を複数体験することができることです。また、設備のよく整った病院から、少ない設備で懸命に治療している病院まで、さまざまな規模の病院を経験することで、循環器内科のあらゆる現場を経験することもできます。
関連病院での研修が終わると、今度は大学病院での研修が始まります。大学病院の研修は平均して1〜2年ほどで、一般的な循環器疾患の他、特殊な治療やレアな症例を学ぶことができます。このときに関連病院での経験があると、知識を積み上げることができ、大変役に立ちます。
関連病院、大学病院の研修が終了した段階で、早い方ですと大学院に入学し、研究を行います。その後、本人の希望に応じて留学や学びたい手技、研究に合わせた勤務先の選択を行うことになります。
当教室では新潟県内はもちろん、山形県、埼玉県、茨城県に関連病院を有します。主な関連病院の一例は下記のとおりです。
当教室では、基本的に医局員に大学院への入学を勧めています。なぜなら、医師として成長するためには臨床だけでなく、研究をしっかり行う期間が必要であると考えているからです。医学は実学でありながら科学でもあるため、研究を経験することで、知識が身につくだけでなく、医学者として何かを検証する、みつけ出すプロセスが成長の鍵となります。
大学院生は本人の希望に応じて臨床と研究をバランスよく組み込むことができます。たとえば、「研究をしたいが、臨床から離れたくない」という医師には臨床と研究の両方に携わってもらうこともできますし、「院生の間は研究に集中したい」という医師には研究だけに専念してもらうこともできます。研究テーマや臨床・研究のバランスについては、面談などを行い、当人の考えをまとめていきます。
専門医資格に関しても基本的に取得する医師がほとんどです。当教室は関連病院のほとんどと連携しているため、研修をしっかり行っていれば単位の取得は行いやすいはずです。当教室で取得できる専門医資格の一例は下記のとおりです。
当教室では国内外問わず、留学を積極的にサポートしています。当教室の医師は留学を希望する方も多く、臨床・研究それぞれの分野で留学し、活躍しています。
また単に留学に行かせるだけでは、医師が現地で苦労してしまうことも多々ありますので、留学を希望する医師には医局内でしっかり教育を行い、業績を積んでから渡航できるよう指導しています。
当教室は年間10数本の英語論文を出しており、年々その質も向上しています。
また教室全体で学術総会や大会への参加を推奨しており、当教室の医師が参加する際にはなんと国内外問わず教室から旅費のサポートを行っています。
実は、学術総会や大会への参加は医師にとって金銭的にも業務的にも負担のかかるイベントです。今でも多くの教室では学術総会や大会への移動費は自費が当たり前です。学術総会や大会への参加は準備も大変で、そのうえ診療を休まなければならなかったり、日程確保のために業務が溜まったりしてしまうため、なかには「そこまでして行きたくない」と思ってしまう医師もいます。
しかし論文の執筆や、学術総会への発表は医師のキャリアを形成していくうえでも非常に重要です。そのような機会に世界各国のエキスパートと出会いより広い世界を知ったり、自分が医学界に認められたりする経験をすることで、モチベーションも上がりますし、医師としてさらに成長することができます。
当教室では若手医師にも積極的に外の世界へ飛び出していけるよう、研究費の申請や、ポスター賞などを皮切りにあらゆるチャンスを提供するように努めています。
また、研究に関しては前述の臨床チームに加え、3つ寄付講座を有し、それぞれの研究にあたっています。
<6つの研究チーム>
当教室では、老化制御講座という寄付講座の研究を行っています。この研究チームは新潟の企業、株式会社ブルボンがサポートしてくださっています。
循環器疾患は高齢者の罹患が多く、老化と循環器疾患には密接な関係があります。当講座では未だわからないことの多い、老化の進行や制御についての研究を行っています。
当教室には大学での研究、市中病院での診療、開業医などさまざまな目標、夢を持った医師が入局してまいります。しかし、医師のキャリアは多くの場合、1つの側面だけを学んでいてもなかなか目標に到達できません。そこで、若いうちからさまざまな経験をしていくことが必要です。
当教室では循環器内科の多様性、臨床・研究などできることの幅広さを重視しています。それぞれの医師やりたいと思うことに応え、選択肢を増やすことで、各医師が本当にやりたかったことに出会える確率を上げるとともに、自分の想定になかったことも含め、さまざまなことを経験しいろんな方に出会ってほしいと思います。その経験こそが、目標・夢を叶えたときに、自身を厚みのある信頼のおける医師へと成長させます。
目標や夢に到達するために必要なことはまず世界のレベルを知ることです。当教室では診療、臨床研究、基礎研究をそれぞれ盛んに行うことで、組織としての力を強くし、積極的に他の医療機関、研究機関とも交流を図っています。
所属医師 | 医局員は80〜90名 |
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専門医 | ・各種学会認定専門医 (新潟大学医歯学総合病院)
・学会専門医修練施設認定 (新潟大学医歯学総合病院)
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男女比 | 7:3 |
所属医師の 主な出身大学 |
山形大学、富山大学、関東の大学など |
同大学出身者と 他大学出身者の比率 |
やや他大学出身者のほうが多い |
当教室は平均年齢が30代と比較的若く、活発な教室です。教室内の特徴としては医師がみな多様な夢を持ち、開業医を目指す医師も、先進医療を学びたい医師も、研究をしたい医師も、みな一丸となって切磋琢磨しているところが挙げられます。
当教室は2017年現在医局員が80〜90名ほどで、うち半数は外の病院での研修・サポート、残りの半数が大学病院での研修・診療を行っています。入局者は毎年5〜10名程度で2016年は8名、2017年は5名の医師が入局しました。
当教室は歴史ある新潟大学医学部第一内科が起源となっておりますので、数多くの同窓生がおり、循環器内科教室、血液内分泌代謝内科教室と2つに分化した今でも盛んに交流が続いています。
循環器内科が扱う疾患は急性疾患が多く、一般的に男性医師が多いという印象を抱く方もいらっしゃいますが、当教室では女性医師も主に画像診断や心不全の管理、心臓リハビリなどの分野で活躍しています。現在女性医師は医局員全体の30%程度で、教室としてライフイベントや本人の意思に応じたサポートを積極的に行っています。
当教室の入局者は新潟出身の方が多いです。新潟大学医学部を卒業されてそのまま入局する方もいれば、近隣の山形大学、富山大学や関東の大学の医学部を卒業し、故郷新潟で働くことを望んで入局する方もいます。また、出身地も出身大学も全く関係なく新潟大学病院で初期研修をした医師がそのまま入局するケースもあります。
本学卒業者と他大学卒業者の割合ですが、現在はやや他大学出身者のほうが多くなっています。さまざまな大学の出身者がそれぞれの文化を持ちより、調和しています。
この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生
順天堂大学 大学院医学研究科 循環器内科教授
南野 徹 先生
1989年 千葉大学医学部卒業。1994年より東京大学医学部第三内科にて「エンドセリンと動脈硬化」についての研究で学位取得。1997年にハーバード大学へ留学。留学中から現在に至るまで老化制御学を研究。新潟大学大学院医歯学綜合研究科循環器内科教授として、抗老化治療の開発研究を進めつつ、後進医師の育成・指導にもあたった。現在は順天堂大学大学院医学研究科循環器内科教授を務める。