公開日 2018年11月28日 | 更新日 2018年11月28日

大阪大学

大阪大学大学院医学系研究科 外科系臨床医学専攻

消化器外科の領域をオールマイティに手がける、100年以上の歴史ある教室

当教室は、教授が2名体制という全国的にもおおよそ珍しい教室運営をしています。両教授で専門分野が異なり、消化器外科分野をオールマイティに臨床・研究することが可能です。
当教室の最大の特徴は、大阪を中心とした多数の大病院を関連病院としている点です。そのため、大規模な臨床研究や人事交流を積極的に行うことができます。
カバーしている領域も幅広く、魅力的な人材が、それぞれの志を持って日々臨床や研究に励んでいます。

医局情報

診療科 消化器外科
専門分野 消化器外科学
症例・
手術数
897件(2017年度)
関連病院

Map hospital当院

Map related hospital関連病院

専門分野

当教室は大きく3つのグループにわかれ、臨床・研究に励んでいます。いずれの研究グループも、臨床研究、基礎研究の双方を行っています。また、消化器外科全体で取り組んでいる研究も複数あります。

大学であることから、研究には非常に力を入れており、英文だけでも年間100編以上の論文を発表しています。研究に集中できる環境も十分に整えています。

上部消化管グループ

上部消化管グループは、食道がん・胃がんを中心とした食道や胃の疾患、GIST(消化管間質腫瘍)などの研究を行っています。そのほか、がん免疫療法や、肥満に対する外科的アプローチに関する臨床・研究にも取り組んでいます。

臨床研究の例

  • 食道切除胃管再建術周術期におけるグレリン投与臨床試験(random phase II)
  • NAC(DCF)の至適投与回数試験(2 course vs 3 course)
  • 進行・再発食道癌に対するPD-1抗体による抗腫瘍免疫療法(企業主導治験) など

基礎研究の例

  • 食道癌術後体重減少患者に対するグレリン投与臨床試験
  • 胃癌患者における尿検体を用いた早期診断システムの開発研究(文部科学省次世代がん研究戦略推進プロジェクト)
  • KIT並びにPDGFRA遺伝子に変異を伴わない消化管間質腫瘍(GIST)の臨床病理遺伝学的研究 など

下部消化管グループ

下部消化管グループでは、大腸がんをはじめとする大腸の疾患や炎症性腸疾患の研究に取り組んでいます。

大腸がんでは、より低侵襲で根治性を高める外科的治療法に取り組んでおり、腹腔鏡手術やロボット 支援下手術を実施しています。炎症性腸疾患においても、内科治療では奏功しないケースにおいて、 外科的アプローチから患者さんのQOL向上を目指す治療を行っています。

臨床研究の例

  • オキサリプラチン・ベバシズマブによる病勢コントロールが得られた進行再発結腸・直腸癌に対するTAS-102+Bevによる計画的維持投与(Switch Maintenance Therapy)の有効性と安全性に関する検討; 多施設共同第II相試験
  • 直腸癌に対する腹腔鏡下側方リンパ節郭清術に対する前向き研究 など

基礎研究の例

  • 炎症性腸疾患関連癌の発癌関連性因子と生物学的特性解明のための基礎的検討(基盤研究C)
  • Lgr5スプライシングバリアントに着目した大腸癌の新規治療開発のための基礎研究(基盤C) など

肝胆膵・移植グループ

肝胆膵・移植グループは、肝胆膵領域のがん診療および肝移植・膵移植を担当するグループです。肝細胞がんや胆道がん、膵臓がんに対する系統的肝切除術、膵頭十二指腸切除術といった肝胆膵高難度手術を多数行っているだけでなく、腹腔鏡下肝切除術、腹腔鏡下膵切除術など低侵襲手術も積極的に行っています。また脳死肝移植、脳死膵移植、生体部分肝移植なども行っています。

臨床研究

  • 肝胆膵悪性腫瘍に対する術後静脈血栓塞栓症(VTE)予防に対するエノキサパリン投与の検討(CSGO-HBP-006,013)
  • 切除可能膵癌におけるGEM+TS-1併用術前化学放射線療法の臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験  (CSGO-HBP-003)
  • 膵頭十二指腸切除後再建(膵胃吻合と膵空腸吻合)のランダム化第Ⅱ相試験(CSGO-HBP-007)
  • 肝切離面に対するPGAフェルト併用フィブリンシーリング法の出血・胆汁漏予防に関する有用性の検討  (CSGO-HBP-004) など

基礎研究

  • 交互積層技術を用いた膵β細胞の三次元構築
  • 浸潤性膵管癌の遠隔転移におけるヒストン脱アセチル化酵素1(HDAC1)の役割
  • 低酸素誘導遺伝子PLOD2の胆道癌における上皮間葉移行(EMT)を介した化学療法耐性メカニズムの解明 など

教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)

1.研修の流れ

後期研修を3年間同施設で行うコースと、消化器外科以外の診療科でも学べるコース

 

2018年度より始まった新専門医制度では、原則として大阪大学外科プログラムという1プログラムで運用します。大阪大学医学部附属病院が基幹施設であるため、半年以上勤務し、残りの期間を関連施設で勤務します。消化器外科以外(心臓血管、呼吸器、乳腺内分泌、小児)についてもこのプログラムの中で専門医取得に必要な診療経験を積むことができます。

もちろん、大阪大学外科プログラム以外で外科専門医を取得された先生も、その後大阪大学消化器外科教室の一員として研究や、関連病院で勤務をすることも可能です。

2.キャリアパス

大学で臨床と研究を行うことも、市中病院で臨床医として腕を磨くことも可能

外科専門医取得後のキャリアは大きくふたつにわかれます。ひとつは大学院に進学し博士号取得後、大学で臨床と研究を続けるパターン、もうひとつは博士号を取得せず、市中病院で臨床医としての腕を磨くパターンです。なかには開業医となる医師もいますが、先のふたつに比べると少数でしょう。

年に一度、教授との面談を設けることで、将来のキャリアについて相談できる環境を整えています。

3.関連病院

関西を中心に48施設の関連病院で経験を積むことが可能

当教室は、48施設の関連病院があります。多くの関連病院のなかから、自身が実現したいキャリアを築くことが可能です。

関連病院の一例は以下の通りです。

  • 国立大阪医療センター
  • 大阪府立急性期総合医療センター
  • 大阪警察病院
  • 関西労災病院
  • 大阪労災病院
  • 大阪国際がんセンター など

4.留学

アメリカを中心に留学実績あり

  • ハーバード大学(ボストン)
  • MDアンダーソン癌センター(ダラス)
  • コーネル大学(ニューヨーク)
  • ペンシルバニア大学(フィラデルフィア)
  • 国立衛生研究所(ワシントン)
  • スタンフォード大学(スタンフォード)
  • メイヨ―・クリニック(ロチェスター)
  • ミシガン大学(デトロイト)

医局の構成

所属医師 92名
専門医

日本外科学会 専門医24名
日本消化器外科学会 専門医24名

男女比

85:7

所属医師の
主な出身大学

大阪大学

同大学出身者と
他大学出身者の比率

3:7

関西を中心に全国から意欲のある医師が集結

当教室は、関西圏を中心に全国から消化器外科を究めたいとの意欲に燃える医師が集まっています。大阪大学出身者は3割ほどで残りの7割は他大学の出身者です。

もちろん、出身大学による垣根はなく、互いの専門分野や個性を生かしながら切磋琢磨して消化器外科医としての腕を磨いています。

教授輩出の実績も多数

当教室は、約130年の歴史のなかで、全国の大学へ教授を輩出してきました。このなかには、他大学から当教室へ入局し、教授となった者もいます。この例から、アカデミックで頑張りたい、と思う医師にも道が開かれていることが伝わるでしょう。

1割程度は女性医師も。ライフスタイルに合わせたキャリアプラン

2018年10月現在、医師・研究者が92名在籍しています。これに加えて事務補佐、実験補佐などが10名以上おり、合計100名を超える規模の大きな医局です。

当教室は外科系ですが、女性医師も多数活躍しています。大学院生の約1割が女性で医局で6〜7名います。大学院は2年目以降は患者受け持ちをしないことから、妊娠、出産、育児などの女性のライフイベントにも対応しやすい時期です。産休や育休の取得実績もあります。

また大学院を卒業した後も、子どもがある程度成長するまでは、育児との両立が可能な勤務のできる病院や、託児所が併設されている病院に異動するなど、本人と話し合ったうえで配慮をしています。

所属医師のインタビュー

研修生へのメッセージ

多くの「仲間」と出会い、自己研鑽したい医師は大阪大学消化器外科へ

当教室は、大規模な教室ですが個人を尊重し、お互いを仲間と認め、ともに学び合えるメンバーばかりです。当教室の医局員を、「同級生のようだ」とたとえる者もいます。それほど、仲のよい教室であると自負しています。
一流の消化器外科医を目指し、仲間とともに切磋琢磨したい医師は、ぜひ当教室の門を叩いてください。

この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生

大阪大学医学部医学系研究科 外科学講座消化器外科学 教授、病院長

土岐 祐一郎 先生

1985年に大阪大学医学部医学科を卒業後、1989年に大阪大学医学部外科学第二教室にて研究生として臨床経験を積む。2000年には大阪府立成人病センター第一外科の医長を務める。現在は大阪大学医学部附属病院消化器外科、診療科長を務め、消化器がんを専門としている。大阪大学医学部医学系研究科、外科学講座消化器外科学において教授を務めており、後進の育成にも力を入れている。