公開日 2018年11月05日 | 更新日 2018年11月05日
昭和大学脳神経外科学講座
講座の概要
昭和大学医学部脳神経外科学講座は、安全で確実な手術をモットーとした、臨床に力を入れている講座です。手術が上達したいという高いモチベーションを持って日々臨床・臨床研究に励んでいます。
医局情報
診療科 | 脳神経外科 |
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専門分野 | 脳神経外科 |
症例・ 手術数 |
2017年の総手術数1300件以上 |
関連病院 |
当院 関連病院 |
講座の魅力
脳神経外科の手術には、血管内治療と開頭手術の2種類がありますが、昭和大学病院には脳血管障害と良性脳腫瘍の開頭手術のエキスパート・水谷徹先生、昭和大学藤が丘病院には血管内治療のエキスパート・寺田友昭先生がそれぞれ在籍しているため、両輪で日本トップレベルの手術教育をしっかりと受けることができます。また昭和大学病院 清水克悦先生は脳腫瘍ならびに顔面けいれんや三叉神経痛に対する神経血管減圧術のエキスパートです。
開頭手術、血管内治療のどちらも学びたいという方のための専用コースも設けており、手術手技を幅広く身につけたいという方にはもちろん、開頭手術・血管内手術どちらかを極めたいという方にとっても最適な環境がそろった講座といえるでしょう。当講座は、講座員の皆さんに脳神経外科医としての最高の道のりを示したいと考えています。
昭和大学は品川区の本院(昭和大学病院)を含め、東京都内と横浜市に昭和大学藤が丘病院、昭和大学横浜北部病院、昭和大学江東豊洲病院)の計4つの大学施設を設けています。大学4施設での脳神経外科手術総数は2016年には1200件を超えました。
当講座では虎の門病院、国立循環器病研究センター病院、多摩総合医療センター、都立神経病院、都立荏原病院、釧路孝仁会記念病院、AOI国際病院などの各施設とも連携をとっているため、研修医が昭和大学4施設ならびに各施設であらゆる脳神経外科疾患の手術を執刀できるよう、集患と教育の体制が整っています。
臨床と手術が中心の講座ですが、当講座は各研修医が競って技量を高めるのではなく、全員が安全で確実な手術法を習得し、多くの患者さんを治療することを重視しています。脳動脈瘤、血管吻合術(バイパス術)、頸動脈内膜剥離術を代表とする脳血管障害の手術は、脳腫瘍も含めたすべての脳神経外科手術の基本となります。手術の極意はまず脳血管障害の手術をマスターすることです。綺麗で安全な手術を行う脳神経外科のエキスパートを目指し、私たちとともに学んでみませんか。
教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)
1.研修の流れ
ITを活用した手術のトレーニング
脳の手術は1mmのズレが患者さんの命を左右する世界ですから、脳神経外科医はいかに安全・確実に精密な手術を行えるかが重要です。そのため当講座では、術者の姿勢やポジション、手の置き方、顕微鏡手術で使用するハサミの持ち方や角度、クリップの入れ方、方向といった基本的なところから細かく指導を行い、基礎を完璧にマスターするところから始めます。
当講座では3か月に1度のペースで内外を問わず研修医を集め、バイパス手術のエキスパートである杉山達也准教授が外科医の基礎となるマイクロ吻合術のトレーニング教室を開いたり、手術の感覚をリアルにつかむマイクロサージェリーキットを用いたりして手術のシミュレーションを行っています。3D画像で360度見て、触って確認することで、より詳細に手術をイメージすることができるのです。
さらに当講座独自の教育法といえば、IT ネットワークの活用です。実際の手術の動画をハイビジョンファイル化してライブラリとして保存し、カンファレンスで全員に共有しています。気になる症例や自分が予習・復習しておきたい術式がある場合は、手術の実際の様子を誰でもライブラリからすぐに見られます。またネットワーク化したワークステーションを実際に操作して3D画像を手術室やカンファレンスルームで自由に動かすこともできます。他施設の手術も閲覧できるので、互いが影響しあいながら切磋琢磨して技術の向上に努めています。
指導医による手術のフィードバックをすぐに受けられる点も、ITシステムのメリットです。指導医は若手医師の手術後、コマ送りでそのときの動画を確認し、どこから出血したのか、どうすれば血を出さずに手術をできるのかといったことを丁寧に指導していきます。こうして修得した技術は、脳神経外科領域のほとんどの手術に活用が可能です。
こうしたITシステムによる情報共有は、現代の若手医師にとって非常に有用な方法といえます。
アナログな教育も
このような教育スタイルは当講座独自の方法ですが、アナログな教育方法も並行して行っています。手術の前には担当医が必ずポジションや術野の予測についてホワイトボードに記載しておき、全員参加のカンファレンスでプレゼンテーションを行います。そのときに指導医から逐一手術のアドバイスを受けられるので、万全の準備を整えてから手術に臨むことができます。
2.学位・専門医の取得
脳神経外科は卒後7年目より専門医の取得が可能となりますが、他の診療科に比べて試験の難易度が高く合格率が低いことで知られています。
また、専門医取得のためにはできる限りの症例数を稼ぐ必要がありますが、昭和大学の4施設全体で約1200件超の手術件数があるので、十分に症例数を積むことができます。さらに、試験の半年前より当講座の医局員は東京大学の集中講座に参加し、半年かけてみっちりと勉強に励んでもらっています。このように、昭和大学全体で専門医の取得および学位の取得をサポートします。
その他、血管内治療医、内視鏡専門医や脳卒中の外科学会技術認定医の取得も目指すことが可能です。
学位は、大学院博士課程(4年間)による取得と論文審査のみによる2つのパターンがあります。特に後者は医局員になって6年経過すると取得の権利があり、臨床や手術を続けながら取得できるので、手術を極めていきたい場合はオススメのパターンです。
3.研修医の希望に応じた昭和大学脳神経外科学講座の研修コースの概要
脳血管内治療コース
カテーテル治療を中心に学びたい方向けのコースです。昭和大学藤が丘病院(寺田友昭 教授)、昭和大学病院 (奥村浩隆 助教)を中心として、血管内治療に特に方向性をおいた教育指導を行います。約3年で専門医試験受験に必要な症例と、技術、知識の習得が可能です。
脳血管障害治療ハイブリッドコース
カテーテル治療と脳血管障害の手術の両方をやりたい方向けのコースで、昭和大学病院 (水谷 徹 主任教授),藤が丘病院(寺田友昭 教授)、昭和大学病院 (奥村浩隆 助教)の指導のもと、脳血管内治療、脳血管障害の手術の両方をバランスよく習得します。
脳血管障害の手術コース
脳血管障害の手術を中心に学びたい方向けのコースです。脳動脈瘤クリッピング、頚部頚動脈内膜剥離術、バイパス(STA-MCA, ハイフローなど)の技術を磨きます。
(参考:昭和大学脳神経外科 http://www10.showa-u.ac.jp/~nouge/index.html)
4.学会発表、論文・研究実績
- 脳血管障害 (開頭術、血管内治療)
- 良性腫瘍
- 微小血管減圧術
- 脳動脈瘤のクリッピング術、バイパス手術
- 下垂体腺腫 内視鏡手術で低侵襲な治療
などの分野を中心とした学会発表、研究、論文が中心
5.キャリアパス
若手の頃から多くの手術を経験できる環境
若手の先生方には、なるべく早くから手術をしてもらいたいというのが当講座のポリシーです。ですから、入局後は若手の時期からどんどん手術を経験するチャンスがあります。卒後3年目から第一助手、第二助手として手術室に入り、基礎的なトレーニングを積んだ後、実力によっては5~7年目で脳卒中やくも膜下出血に対するクリッピング術の一部を任せることもあります。ただし、脳神経外科疾患は非常に奥深い分野で難解な手術も多数あるため、一人前の脳神経外科になるまでにはかなりの手術をこなす覚悟と努力が必要です。想定されるあらゆる苦難を乗り越えるには、30年以上かかるかもしれません。
昭和大学の総手術数は増加している
2017年における昭和大学4施設の総手術数は約1213件で、2014年の1000件から増加の一途を辿っています。バリエーション・ボリュームともに十分な症例の量を確保していますし、定期手術は最低1日1件行われていますから、症例数に困るということはまずありません。
6.専門医取得前の若手医師が術者として執刀した手術件数(2016年、4施設合計)
- 開頭クリッピング術 22件
- 脳動脈瘤(カテーテル)コイル塞栓術 23件
- 頸動脈内膜剥離術 13件
- 頸動脈ステント留置術 14件
- 開頭血腫除去手術(脳内、顕微鏡使用) 52件
- 開頭腫瘍摘出術 29件
計 153件
上記のように、若手医師は執刀医として1年の間に、大規模な手術を含めて合計153件も手術を経験しています。この他、助手として執刀医のサポートに入る症例はこの何倍も経験しますし、これ以外の軽易な手術も数倍担います。
執刀医としてメスを握る場合でも、手術の際には必ず指導医がサポートに入るので、心配いりません。
7.キャリアアップを確実にするためのポストづくり
昭和大学は4施設あり、アカデミックポストが豊富
若手医師がキャリアパスをしっかりと描くためには、ポストが重要です。研修医の段階では第一に手術の技術を磨くことが求められますが、長い目でキャリアパスを形成していく上では、継続的に成長していくためにも、また研究業績を残していくためにも然るべき安定したポストが必要です。昭和大学は4施設のアカデミックポストが豊富で、また、近隣の重要な施設の部長・科長のポストも多く、将来性があります。
近隣の関連施設との緊急手術ネットワーク
大学病院、手術室が緊急対応できない場合、昭和大学ほか3施設や荏原病院、AOK国際病院、北品川病院など昭和大学脳神経外科グループの近距離のコアな関連施設とネットワークを構築し、若い医師を緊急派遣して手術経験を得ています。このため昭和大学で手術ができないときには運ばれてきた患者さんに対して、自ら主導となって手術をすることができます。
医局の構成
所属医師 | 44名 |
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専門医 | 39名 |
男女比 | 9:1 |
所属医師の 主な出身大学 |
秋田大学、岡山大学、京都大学、杏林大学、久留米大学、慶應義塾大学、埼玉医科大学、北里大学、昭和大学、信州大学、東京大学、防衛医科大学校、山梨大学、和歌山県立医科大学、東邦大学、新潟大学 |
同大学出身者と 他大学出身者の比率 |
同:他 = 1:1 |
全体で40数名ほどの医局員が在籍する当講座(2018年現在)は、脳血管障害の手術をたくさん経験したいという熱意と意欲にあふれる若手医師が多く、比較的年齢層が若い講座といえるかもしれません。
出身大学は秋田大学、岡山大学、京都大学、杏林大学、久留米大学、慶應義塾大学、埼玉医科大学、北里大学、昭和大学、信州大学、東京大学、防衛医科大学校、山梨大学、和歌山県立医科大学、東邦大学、新潟大学と非常に多彩で、半分以上が他大学からの入局です。今後も大学の垣根なく仲間を募り、特に昭和大学の学生や研修医には脳卒中の初期診断や治療を主体とした脳神経外科の魅力を広く伝え、バランスの良い講座を目指していきたいと考えています。
また、脳神経外科といえば男性社会というイメージが強いものの、当講座は2012年より毎年女性医師が入局しており、現在5名の女性医師が在籍しています。もちろん、男女で教育内容に差がつくことはありません。
産休育休制度も大学の制度を利用して取得することができます。今後もライフイベントに対応できる制度も整えていきたいと考えています。
研修生へのメッセージ
この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生
昭和大学 医学部脳神経外科学講座 教授
水谷 徹 先生