公開日 2018年11月02日 | 更新日 2018年11月13日

新専門医制度とは?

まとめると・・・

  • 中立的な第三者機関が専門医の認定などを行う、あらたな専門医制度
  • 基本領域のプログラムは、基幹病院として認定された大学病院、市中病院などで受けられる
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新専門医制度とは?

新専門医制度の背景(どのように新専門医制度ができたの?)

1981年、日本医学会加盟の22学会が集まり「学会認定協議会」を発足しました。しかし、これまでの専門医制度には、以下の課題がありました。

  • 専門医の質:各学会が独自に運用してきたため、診療領域における認定基準の統一性や、専門医の質の担保に懸念があった。
  • 求められる専門医像:102もの細分化された専門医が存在した。専門医の能力について、医師と国民(患者)との間に認識のギャップがある。
  • 地域医療との関係:医師の地域偏在・診療科偏在が生まれていた。

このような課題を背景に、2013年4月には厚生労働省から「専門医の在り方に関する検討会」の最終報告書が公表されました。これを受け、2014年には、新たな第三者機関として「一般社団法人日本専門医機構」が設立されました。

一般社団法人日本専門医機構の役割

中立的な第三者機関として、統一的に以下を行います。

  • 専門医の認定
  • 養成プログラム、更新基準、研修施設の基準を作成
  • 養成プログラム、更新基準の評価・認定
  • 専門医の質や分布等を把握するため、関連データベースを構築

新専門医制度における「専門医」とは?

日本専門医機構が認定する専門医の定義は、以下の通りです。

  • それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を有し、患者から信頼される標準的な医療を提供できる
  • それぞれの診療領域における先端的な医療を理解し、情報を提供できる

⬇期待される効果は・・・

  1. 専門医の質が向上する=良質な医療の提供
  2. 医療提供体制の改善

従来の制度とどう違うの?(カリキュラムなど)

新専門医制度では原則的に、以下の流れで専門医を養成します。

  • 初期研修後、基本領域から科目を選択し、指導施設として認定を受けた病院群で研修を受ける
  • 経験症例数などの活動実績査読と筆記試験を経て、専門医の認定を受ける
  • 希望する場合には、サブスペシャルティ領域の研修・試験を受ける

サブスペシャルティ領域専門医(29領域)

消化器病 ・ 循環器 ・ 呼吸器 ・ 血液 ・ 内分泌代謝 ・ 糖尿病 ・ 腎臓 ・ 肝臓 ・ アレルギー ・感染症 ・ 老年病 ・ 神経内科 ・ 消化器外科 ・ 呼吸器外科 ・ 心臓血管外科 ・ 小児外科 ・リウマチ ・ 小児循環器 ・ 小児神経 ・ 小児血液 ・ がん ・ 周産期 ・ 婦人科腫瘍 ・ 生殖医療 ・頭頚部がん ・ 放射線治療 ・ 放射線診断 ・ 手外科 ・ 脊椎脊髄外科 ・ 集中治療

サブスペシャルティ領域専門医とは

原則は、基本領域の専門医を取得したうえでサブスペシャルティ領域専門医を取得する2段階制の構造です。また、現状「総合診療医」から進めるサブスペシャルティ領域はありません。

研修方法(プログラム制・カリキュラム制)

1. プログラム制:年次ごとの研修プログラム(たとえば3〜5年間)に沿って研修を行い、定められた到達目標を達成していきます。1つの基幹施設ではなく、いくつかの施設(基幹施設と連携施設で研修施設群を構築)を循環して研修を行います。→専攻医(研修中の医師)が地域の病院をローテートすることで、地域医療が行き届くよう配慮しています。

2. カリキュラム制:定められた到達目標を達成した段階で、専門医試験の受験資格が与えられます。研修年限に定めはありませんが、プログラム制の年限を下回らないこととしています。

*ポイント:原則、基本領域はプログラム制による研修を行います。一方で、サブスペシャルティ領域の研修は、プログラム制・カリキュラム制いずれも選択可能です。

⬇そして・・・

新専門医制度プログラムを受けられるのは基幹病院として認定された

  • 大学病院
  • 市中病院(民間病院)

などが候補となります。

それぞれ、以下のような特徴があります。

1. 大学病院を基幹病院とした専門研修プログラムの特徴

大学病院を基幹病院とした研修では、多彩で豊富な症例を経験できます。また、連携施設では地域完結型の医療連携を研修できるという特徴があります。

2. 市中病院を基幹病院とした研修の特徴

市中病院を基幹病院とした研修では、地域医療を経験できます。また、専門研修プログラムの内容に関して自由度が高く、特徴を持った研修プログラムを受けられる可能性があります。

総合診療専門医とは?

総合診療専門医とは、日常的に遭遇する病気・怪我に対して、患者さんの精神や社会的側面を考慮したうえで、適切な診療を提供することを使命とした医師です。

急速に高齢化が進む日本社会の要請に伴い、新専門医制度において基本領域診療科の1つとして新設されました。

ポイント!

新専門医制度のまとめ・ポイント

新専門医制度のポイントは、以下の通りです。

  • 基本領域とサブスペシャルティ領域の2段階プログラムで構成されています。
  • 中立的な第三者機関として、日本専門医機構が専門医養成プログラムの評価・認定および資格認定を行います。
  • 基本領域の専門医に「総合診療専門医」が新たに追加されました。
  • 大学病院等の基幹病院と地域の連携病院(診療所を含む)が病院群を構成して、専門医の養成を行う
  • 専門医の認定は、経験症例数などの活動実績を要件とする。また、生涯にわたって標準的な医療を提供するため、更新時にも各領域の活動実績を要件とする
  • 教育に歴史(伝統)のある市中病院が、「基幹病院」としての認定を受けることにより、従来の大学医局と同様の機能を持つ可能性があります。

*ポイント:医師としてのキャリア形成で「どこで専門医研修プログラムを受けるのか」が大切なポイントになります。

→専門研修プログラムの選び方については、をご覧ください。

基幹病院はどこにあるの?(各都道府県)

参照:http://www.naika.or.jp/pref_program/