公開日 2020年09月08日 | 更新日 2020年09月09日

川崎医科大学

リウマチ・膠原病学

スタッフの個性や長所を活かして、急成長を遂げている教室

川崎医科大学は創設者川﨑祐宣先生の「医療は患者さんのためにある」という理念に基づいて、1970年に設立されました。「川崎医科大学附属病院」と「川崎医科大学総合医療センター」という機能の異なる2つの附属病院を有し、これらの病院は地域の基幹病院として、医療の発展と患者さんの診療に努めています。

川崎医科大学は開学以来、総合臨床医学、リハビリテーション医学、脳卒中医学、新生児医学など全国で初めての新しい教室を導入してきました。膠原病を専門とする独立した教室を有する大学医学部がまだまだ少ない中、本学のリウマチ・膠原病学教室は、2010年4月に新設されました。開設以来、内外から新たな診療スタッフが加わり、今や西日本を代表する膠原病学教室の一つとなっています。

教室の成長や発展には、スタッフの個性や長所を活かすことが大切です。多様性があり、常に進化し続ける明るい教室を目指しています。私たちが目指している医療は、大学創設者の理念に基づいた「人と向き合う医療の実践」です。教室の歴史は浅いですが、診療・研究・人材育成、この全てにおいて素晴らしい環境だと自負しています。男女を問わず、働きやすい環境で一緒に教室を作っていきたいという意欲のある医師を歓迎しています。

医局情報

診療科 アレルギー・リウマチ科
専門分野 リウマチ・膠原病学
症例・
手術数
2019年度診療患者数:2,582名(川崎医科大学附属病院のみの集計) 関節リウマチ 1,074名、SLE 212名、全身性強皮症・MCTD 164名、皮膚筋炎・多発性筋炎 89名、血管炎症候群 123名、シェーグレン症候群 87名、ベーチェット病 48名、成人スチル病 27名、リウマチ性多発筋痛症 116名、脊椎関節炎 101名(オーバーラップ症候群は、主に治療されている病名で集計)
関連病院

当院

関連病院

大学医局の当たり前を変える!

一般的に、若い医師にとって、大学の医局(教室)は「最新の診療知識や技術が学べる」「基礎研究や論文執筆の指導体制があり、学位も取れる」といった利点があります。一方で、「望まない人事異動」「雑用が多い」といった負のイメージを持たれることもあるかもしれません。当教室には、一部の古い大学医学部の医局が当たり前のように行ってきた習慣や体質はありません。本人の希望や個性をもとに、研修や勤務内容を考える新しい考え方の教室です。

公式HP: http://www.kawasaki-m.ac.jp/rheumatology/

多様なキャリアパスに対応

本学は「川崎医科大学附属病院」と「川崎医科大学総合医療センター」という2つの附属病院を有しています。継続的に大学に基礎研究を続けることを指向する医師は勿論のこと、専門医として大学附属病院での臨床業務に専心したいと考える医師も、意欲があれば、講師・医長等のスタッフ・ポジションを得て、継続的に勤務することも可能です。 一方、本学で勤務後、本人から異なる医療機関や学術機関への移籍希望があった場合には、次のキャリアを応援しています。開かれた教室だからこそ、新たな人材が常に教室に加わってくれるものと信じています。

女性医師も多数在籍

膠原病患者さんは若い女性が多く、妊娠・出産といったライフイベントを患者さんと一緒に考えることができる女性医師のニーズはとても高いです。当教室では女性医師の入局も大歓迎です。実際に、2020年度現在、教室員14名のうち女性が7名在籍しています。 また、女性医師自身のライフプラン・ライフステージに応じた働き方に対しても、柔軟に対応しています。女性医師の多い当教室は、女性医師の働き方に対する実績・経験も豊富であり、先輩女性医師からのアドバイスもとても心強いものとなると思います。 学園としても「子育て支援センター」が設置されており、女性医師が働きやすい環境は整っています。

子育て支援センターHP: http://www.kawasaki-m.ac.jp/wlb/index.html

教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)

1.研修の流れ

リウマチ・膠原病は病態が多彩であるがゆえに、当教室のみでも多くの内科症例を経験することができますが。加えて川崎医科大学附属病院では、リウマチ・膠原病の専門研修を行いながら、他科との連携で必要な症例を経験できるシステムを構築しており、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医の取得に必要な対象症例を経験することができます。

また、当院はドクターヘリを有する三次救急病院でありながら市中病院の性格を併せ持つため、救急当直ではwalk inで来られる一次、二次救急症例の診察・診断・治療までトレーニングが可能です。

当教室の所属医師は、原則として後期研修2年目(医師4年目)以降から、附属病院での外来診療を開始しています。診断や治療判断が難しいときには、いつでも指導医と相談できる体制が整っており、多様な病態や症状に対応できる外来診療力が自然とついてきます。

川崎医科大学附属病院の外来の場は「皮膚・運動器センター」であり、皮膚科や整形外科と同じセンターとなります。希望者には皮膚科や整形外科での他科外来研修が行えるように勤務の調整も行っています。

また教室では、若い医師のみならず、他領域を専門(内科あるいは整形外科)とする中堅医師がサブスペシャリティとしてリウマチ・膠原病を研修したいというニーズにも対応しています。半年あるいは一年間だけでも可能です。個別の研修あるいは勤務体制を希望する中堅医師の方もぜひ一度ご相談ください。

2.研究環境

当教室の研究部門では、リウマチ性疾患の診療現場で生じた疑問・課題から研究テーマを設定し、臨床への還元に資するような基礎的な検討を行うことを基本方針としています。2020年度現在、以下のテーマに取り組んでいます。

  1. ①TRAPSなど自己炎症性疾患マウスにおける炎症誘導・遷延機序の解明
  2. ②SLEモデルマウスにおけるアダプター蛋白SH3BP2の役割の解明
  3. ③骨細胞・炎症に着目した動脈石灰化メカニズムの解明
  4. ④TNFtgマウスの骨破壊におけるアンジオテンシンIIの役割の解明
  5. ⑤乾癬性関節炎モデルマウスを用いた病態解明
  6. ⑥マイオスタチン変異マウスの骨・筋解析 研究遂行にあたっては、学内の免疫学、腎臓・高血圧内科学、放射線核医学、脳神経内科学、衛生学、自然科学と共同研究を行っています。

外部の研究機関との共同研究も積極的に行っており、米国インディアナ大学、米国ミシガン大学、岡山大学、久留米大学、京都大学、広島大学、県立広島大学、九州大学病院別府病院と連携しながら研究活動にあたっています。

本学では、大学として中央研究センターを整備しており、多くの最新機器を共有機器として利用することができます。学内での研究発表会などもあり、他教室との連携がスムーズにとれる研究環境です。

3.学位・専門医の取得

当教室の大学院では、2019年度までに3人の大学院生が学位を授与されています。その内、2人は4年、1人は3年(優れた研究業績をあげ、所定の要件を満たした学位授与の特例要件)で大学院を修了し、学位を授与されています。3人の学位論文は下記となり、いずれも海外の一流誌です。

  1. ①Fujita S, Mukai T, Mito T, Kodama S, Nagasu A, Kittaka M, Sone T, Ueki Y, Morita Y. Pharmacological inhibition of tankyrase induces bone loss in mice by increasing osteoclastogenesis. Bone. 2018;106:156-166. (IF 4.360)
  2. ②Nagasu A, Mukai T, Iseki M, Kawahara K, Tsuji S, Nagasu H, Ueki Y, Ishihara K, Kashihara N, Morita Y. Sh3bp2 Gain-Of-Function Mutation Ameliorates Lupus Phenotypes in B6.MRL-Faslpr Mice. Cells. 2019 Apr 30;8(5). doi: 10.3390/cells8050402. (IF 4.366)
  3. ③Tsuji S, Matsuzaki H, Iseki M, Nagasu A, Hirano H, Ishihara K, Ueda N, Honda Y, Horiuchi T, Nishikomori R, Morita Y, Mukai T. Functional analysis of a novel G87V TNFRSF1A mutation in patients with TNF receptor-associated periodic syndrome. Clin Exp Immunol. 2019 Aug 19;198(3):416-429. doi: 10.1111/cei.13365. (IF 3.711)

2020年度現在、大学院生は2名在籍していますが、いずれも4年(もしくは3年)で大学院を修了する見込みです。

4.留学

2020年現在、当教室には海外留学している者はおりませんが、希望があれば、その準備段階から積極的にサポートします。

医局の構成

所属医師 14名
専門医

日本内科学会認定指導医:4名、日本内科学会総合内科専門医:3名、日本内科学会認定内科医:11名、日本リウマチ学会指導医:8名、日本リウマチ学会専門医:11名、日本リウマチ学会登録ソノグラファー:4名

男女比

男性7名:女性7名

所属医師の
主な出身大学

川崎医科大学、岡山大学、山口大学

同大学出身者と
他大学出身者の比率

同大学11名:他大学3名

研修生へのメッセージ

晴れの国・岡山へ

岡山県は「晴れの国」と呼ばれており、とても気候がよいところです。山陽道の中央に位置し、東は兵庫県、西は広島県に隣接。南は瀬戸内海を臨んで四国にと、中国・四国地方の交通の要です。倉敷・岡山は風情ある街並み、美味しい食べ物など魅力満載で、とても過ごしやすい町です。

この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生

川崎医科大学 教授、川崎医科大学附属病院 リウマチ・膠原病科 部長

守田 吉孝 先生

岡山大学医学部を卒業後、同大学院を経て、米国Michigan大学リウマチ科にて、関節リウマチおよび膠原病の研究を重ねる。帰国後は岡山大学ならびに川崎医科大学にてリウマチ・膠原病の専門医として診療に携わる傍ら、後進の指導に力を注いでいる。現在は川崎医科大学リウマチ・膠原病学の教授としてアウトリーチ活動やアプリの開発など情報テクノロジーを用いた診療の向上にも精力的に取り組んでいる。