公開日 2018年12月12日 | 更新日 2018年12月12日

群馬大学

群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学講座

教室の概要

群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学教室は、放射線治療・放射線腫瘍学を専門とする教室として日本では最大級であり、教室員は2018年現在50人程です。そして、活動は国内だけにとどまりません。国際原子力機関(IAEA)のアジア・大洋州地域におけるがん放射線治療プロジェクトの全体総括者や、アジア放射線腫瘍学連合(FARO)の代表幹事に中野隆史教授がなっており、教室としてそれらの事務局業務を担当するなど、国際貢献活動も積極的に行っています。
また、世界で4台目、大学施設としては群馬大学とドイツのHeidelberg大学の2施設しか所有していない、重粒子線治療施設があります。大学に併設された重粒子線治療施設という特色を生かし、臨床のみならず重粒子線治療に関する教育・研究を積極的に行っています。

医局情報

診療科 放射線科
専門分野 放射線治療・放射線腫瘍学
症例・
手術数
約1200件
関連病院

当院

関連病院

最先端の治療法から基礎研究まで すべての分野を重視

当教室では、あらゆる種類の放射線治療を学ぶことが可能です。

まずエックス線治療部門では、リニアック3台を用いて、通常の放射線治療から、呼吸同期を用いた体幹部定位放射線治療、限局した固形腫瘍に対する強度変調放射線治療(IMRT)、骨髄移植前の全身照射(TBI)、皮膚疾患の電子線照射まで、幅広い放射線治療を行なっています。また同室自走式CT装置を有する小線源治療装置を有しており、早い時期から子宮頸癌に対するHybrid小線源治療(腔内照射と組織内照射を組み合わせた画像誘導小線源治療:IGBT)を開発し、現在も積極的に取り組んでいることが特徴です。

また、2010年に国内で3施設目となる重粒子線治療を導入し、大学の附属病院という特徴を生かして他診療科と連携を図りながら、新規の臨床試験にも取り組んでいます。

さらに、近隣の大学病院や関連病院と緊密に連携し、粒子線治療やサイバーナイフ、トモセラピーと言った様々なモダリティの中から患者さんに最適な放射線治療を提供しております。また、近隣の県立がんセンターの放射線治療部門の責任者は当教室出身者が務めており、広範囲ながん地域ネットワークを構築しております。

新たな放射線治療技術開発のための基礎研究も盛んです。たとえば、細胞や生体に対する放射線の作用を解明する分子生物学的研究やがんの免疫学的研究、放射技術や治療精度向上を目指した物理学的研究も行っています。そして、新たな治療法の有効性を示すための臨床研究まで、すべての分野を重視して取り組んでいます。

教育体制・キャリアパス(専門医及び学位の取得)

1.研修の流れ

当科入局後は、2018年度より開始された新専門医制度のシステムに則り、全員が3年間の「群馬大学放射線科専門研修プログラム」の専攻医として研修を開始します。

群馬大学医学部附属病院を基幹病院とした本プログラムの特長は、(1)大学病院として日本唯一の重粒子線治療施設があり、最先端の重粒子線治療を経験できる、(2)連携施設に日本で有数のHigh Volume Centerである大学病院・がんセンターが多数含まれており、幅広い腫瘍の放射線治療を経験できること、(3)放射線治療に関わる生物・物理の基礎研究が活発に行われており、大学病院・連携施設での研修を行いながらの研究、学位取得が可能なこと、が挙げられます。

専攻医本人の希望を重視して研修病院を調整しますが、最低1年以上は群馬大学医学部附属病院で研修を行うこととしており、放射線治療領域だけでなく画像診断・IVR・核医学領域を含めた放射線科領域全般に関して研修を行い、専門医制度の第一段階である「放射線科専門医」受験資格を取得します。

「放射線科専門医」取得後は、放射線治療に特化してさらに2年間の専門研修を行い、2段階目の「放射線治療専門医」の取得を目指します。最短で医学部卒後8年目で「放射線治療専門医」取得が可能です。

また、並行して大学院教育を通した基礎研究を重視しており、大学病院・連携施設での研修を行いながらの研究、学位取得が可能です。当教室には放射線生物・物理を専門とするスタッフも多数在籍しており、学位取得後基礎研究を継続することも可能です。

2.キャリアパス 

世界で活躍するチャンスが多数

当教室では、国際貢献活動にも力を入れており、入局初年度から多くの世界をみる機会が用意されています。たとえば、国際原子力機関(IAEA)との共同プロジェクトである発展途上国への放射線技術の導入では、アジア地域における指導的立場を担っています。また、近年発足したアジア放射線腫瘍学会連合(FARO)の立ち上げにも当教室が中心となり、事務局機能を担っています。そのため、アジアを中心に、世界各国へ足を運び勉強することが可能です。

海外医師の見学受け入れなども積極的に行っています。英語に自信のない方でも、仲間や先輩のサポートとともに、多くの場数を踏むことで確実に上達していきます。

リーディング大学院へ進学

群馬大学は日本学術振興会の「博士課程教育リーディングプログラム」に、平成23年度に「重粒子線医工学グローバルリーダー養成プログラム」が採択されました。当科はその教育プログラムのプログラムコーディネーターを中野隆史教授が務めるなど、中心的な役割を果たしています。当教室の教室員で大学院進学を希望する人は、通常の大学院ではなく、この「リーディング大学院」に進学し、世界を見据えた先進教育を受けています。本プログラム事業からはNature掲載論文も出るなど、世界中から注目されています。

3.関連病院

群馬県内の主な公立病院や民間病院の放射線治療部門の責任者は、ほぼ当教室出身者が務めています。また、関東一円の大学やがんセンター、研究所にもトップとして就任しています。主な関連病院は以下の通りです。

放射線治療部門責任者が当教室出身の病院

群馬県立がんセンター(群馬県太田市)

前橋赤十字病院(群馬県前橋市)

高崎総合医療センター(群馬県高崎市)

日高病院(群馬県高崎市)

伊勢崎市民病院(群馬県伊勢崎市)

渋川医療センター(群馬県渋川市)

桐生厚生総合病院(群馬県桐生市)

埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県)

埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県)

自治医科大学さいたま医療センター(埼玉県)

獨協医科大学越谷病院(埼玉県)

埼玉県立がんセンター(埼玉県)

埼玉県立循環器呼吸器病センター(埼玉県)

JCHO東京新宿メディカルセンター(東京都)

国立がん研究センター東病院(千葉県)

松戸市立総合医療センター(千葉県)

自治医科大学(栃木県)

栃木県立がんセンター(栃木県)

筑波大学(茨城県)

神奈川県立がんセンター(神奈川県)

佐久総合病院 佐久医療センター(長野県)

長野市民病院(長野県)

静岡県立総合病院(静岡県)

奈良県立医大(奈良県)

福島県立医大(福島県)

富山大学(富山県)

教室員を派遣している病院

公立館林厚生病院(群馬県館林市)

深谷赤十字病院(埼玉県)

がん・感染症センター都立駒込病院(東京都)

放射線医学総合研究所病院(千葉県)

4.留学

大学院を卒業した後は、海外留学を積極的に薦めていることも当教室の特徴です。そして、世界の一流大学や病院、研究所などの放射線部門に留学することが可能です。主な留学実績は以下の通りです。

  • ハーバード大学/マサチューセッツ総合病院
  • オハイオ州立大学
  • ハイデルベルグ大学
  • 英国ケンブリッジ大学
  • 米国MDアンダーソンがんセンター
  • カロリンスカ研究所
  • ドイツ重イオン線医学研究所
  • アメリカ国立衛生研究所

5.研究実績

研究実績は非常に多く、当教室は群馬大学の講座のなかで総獲得Impact Factorが上位でした。これは、医局人数の多い内科や外科も含めての結果です。また、競争的研究資金の獲得にも熱心です。重粒子線治療を中心とした先端技術の開発のために多くの資金を獲得しています。そして獲得した資金は、大学院生にも裁量で使える予算があります。

医局の構成

所属医師 50人ほど
専門医

放射線治療専門医 37人

男女比

8:2

所属医師の
主な出身大学

群馬大学、旭川医科大学、山形大学、福島県立医科大学、筑波大学、東邦大学、杏林大学、新潟大学、富山大学、奈良県立医科大学、山口大学、香川大学、宮崎大学

同大学出身者と
他大学出身者の比率

3 : 1 (約25%が他大学出身者)

他大学出身者が多数

当教室のメンバーは、他大学出身者が多数います。以下のような大学から、最先端の放射線治療を学びたいという方々が集まっています。

若い力に支えられる教室

中野 隆史教授が教授就任した2000年に入ってきた教室員で、現在40代、30代後半の方々は、すでにさまざまな大学の教授となっています。そのため、現在の教室員の年齢はほぼ40歳以下と非常に若く、若い力がみなぎった風通しのよい環境です。

子育てとの両立も可能

当教室の人数は約50名で、そのうち10名ほどが女性です。そして、そのなかには子育てをしながら働いている医師もいます。そのため、女性の働きやすい環境づくりには常に注意を払っています。

家庭の事情や妊娠をした場合は、関連病院などではなく、より本人の希望を聞き入れやすい群馬大学で働くことも可能です。また、子育てを行っている方には、早い時間に帰宅し子どもと過ごす時間を確保できるように工夫しています。現在、子育てをしている教室員の一人は、14時で仕事を終えて帰宅しています。

所属医師のインタビュー

研修生へのメッセージ

自主的に活動できれば、多様なキャリアが開ける

当教室では、若い医師たちが常に熱意を持ち、生き生きとしながら働いています。なぜならば、年齢が若くても、自分の意見を提示して、行動に移すことを重視している環境だからです。そして、困ったことが発生した場合は、私や教室の仲間がしっかりとサポートをします。その他にも、放射線治療の最先端である重粒子線治療に携われることも大きな魅力ですし、リーディング大学院や海外で活躍する機会が多いため、安心して放射線治療医としてのキャリアを築くことができます。  
また医局旅行やスポーツ大会、懇親会など教室行事も盛んです。女性の教室員には出産や子育ての際、希望に応じたさまざまな働き方を用意しています。興味をもっていただけたならば、ぜひ1度、見学にお越しください。(見学の詳しい内容や申し込み方法は、「群馬大学放射線科 医学生・研修医の為のページ」からご覧いただけます)

この医局の情報をインタビューさせて頂いた先生

群馬大学大学院医学系研究科病態腫瘍制御学講座腫瘍放射線学 教授

中野 隆史 先生